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2015年10月29日(木)

沖縄・辺野古 政府きょうにも本体工事

翁長知事“新基地認めぬ”対抗措置

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 沖縄県名護市辺野古の新基地建設をめぐり、安倍政権が牙をむいています。防衛省沖縄防衛局は28日、翁長雄志県知事による辺野古埋め立て承認取り消しの効力を停止する国土交通相の決定文書を受け取ったことから、本体工事の着手届を沖縄県に提出しました。翁長知事は同日、「断じて容認できない。今後も、辺野古に新基地は造らせないという公約の実現に向け、全力で取り組む」とのコメントを発表。対抗措置を表明しています。


写真

(写真)会見する翁長知事=27日、那覇市

 届出書によれば、工期は29日から2020年10月31日までの5年間。中谷元・防衛相は28日の会見で、仮設ヤード、仮設道路など陸上部分(米軍キャンプ・シュワブ内)から着手する考えを示しました。

 政府は13年末に前知事から埋め立て承認を受けた際、本体工事前に県との事前協議を行うと約束していましたが、これを一方的に破棄するものです。安倍政権の横暴ぶりは、全面占領下、住民の土地を「銃剣とブルドーザー」で強奪した米軍当局に匹敵します。

 翁長知事も「事前協議が未了であるにもかかわらず、工事着手届出書が提出されたことは遺憾」と批判。県は28日、沖縄防衛局に対し、埋め立て工事に関する事前協議が調うことなく埋め立て工事に着手することは、埋め立て承認の前提条件である「留意事項」に違反する行為と警告。事前協議に必要な南側護岸や仮設岸壁などの実施設計が提出されていないことを指摘し、提出を求めました。

 さらに、政府は28日、知事の権限を全面的に奪う「代執行」手続きに着手。埋め立て承認の取り消し処分を11月6日までに取り消すよう「是正」を求める「勧告」文を県に送付しました。最終的には裁判での判断になりますが、知事は「司法の判断を問うのであれば、判決が出るまでは辺野古の作業は開始すべきではない」と指摘しています。

解説

強権の背景に政府の焦り

図

 安倍政権は28日、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に関し、29日からの本体工事着工を一方的に通告しました。1面報道のように、政府が辺野古の埋め立て承認を県から得る際に「留意事項」としていた事前協議を一方的に打ち切っての強行であり、近代民主主義国家とは思えない強権ぶりです。これを厳しく糾弾し、強行を許さない世論を全国で急速に広げていくことが求められます。

 同時に、政府の強権ぶりの背景には、県民の不屈のたたかいで工事の日程が大きく遅れていることへの焦りがあります。追い詰められているのは政府です。

 2013年4月に日米両政府が合意した辺野古新基地のマスタープランによれば、本体工事から諸手続きを経て「普天間基地返還」までの期間は8年(図)。返還時期は「22年度またはその後」となっています。しかし、今月29日から工事を開始すれば、最短でも23年11月ごろになります。

 この工程は「調査・設計」の完了が前提です。ところが、海底掘削(ボーリング)調査は5カ所が未着手で、来年3月まで期限を延長しています。調査が完了しない以上、設計図も作成できるはずがありません。

 このため、ボーリング調査が不必要の陸上部分(仮設ヤード、仮設道路など)や、調査が完了した海域に限って着手しようという、泥縄式の本体工事なのです。

 肝心の滑走路や弾薬庫、軍港機能といった新基地の中枢機能については設計図も描かれておらず、埋め立て土砂の調達先も見つかっていません。

 加えて、本体工事の5年間という工期は、台風による中断を前提にしていません。

 今、工事に着手しても、普天間基地の「返還」は22年度から大幅に遅れるのは確実です。政府が真剣に「普天間基地の固定化」を避け、「危険性を除去」しようと考えているのなら、即時閉鎖・無条件撤去以外に道はありません。

 (竹下岳)


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