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2015年10月21日(水)

主張

辺野古米軍新基地

問答無用で民意を退けるのか

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 沖縄の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設問題で、翁長雄志知事が埋め立て承認の取り消しを決定したことに対し、防衛省沖縄防衛局が知事の決定の取り消しを求める審査請求などを国土交通相に行いました。その理由を読んで驚くのは、新基地が建設できなかった場合の日米同盟への悪影響を露骨に強調していることです。日米同盟絶対の立場から沖縄の圧倒的な民意を敵視し、新基地建設に突き進む安倍晋三政権の異常な強権ぶりを示しています。

日米同盟絶対を繰り返す

 翁長知事は今月13日、仲井真弘多前知事が公有水面埋立法に基づき行った辺野古の埋め立て承認について、第三者委員会の検証報告を受けた関係部局での精査の結果、「承認には、取り消しうべき瑕疵(かし)があるものと認められた」とし、取り消しを正式決定しました。知事の決定は、昨年の名護市長選、県知事選、衆院選沖縄選挙区全ての勝利などを通して繰り返し示されてきた「新基地ノー」の県民の意思に応えた歴史的英断でした。

 これに対し、沖縄防衛局は14日、公有水面埋立法を所管する国土交通相に、行政不服審査法に基づき、知事の決定の取り消しを求める審査請求と、その裁決が出るまで知事の決定の執行停止を求める申し立てを行いました。

 しかし、行政不服審査法は、公権力からの「国民の権利利益の救済」が目的です。辺野古の新基地建設を「唯一の解決策」とする安倍内閣の方針に基づき建設工事を進める沖縄防衛局が一般の“私人”をかたって、その内閣の一員である国交相に審査請求や執行停止の申し立てを行い、知事の決定を無効にして工事の継続を図るなどという“自作自演”は、同法を悪用した違法行為に他なりません。

 同時に重大なのは、防衛局が審査請求などを行った理由です。

 沖縄防衛局は国交相に提出した文書で、辺野古の新基地建設は日米首脳会談など「外交の最高レベル」で繰り返し合意され、その実現は「日米間の信頼関係はもとより、日米同盟を堅持することになり、外交・防衛上の利益が非常に大きい」とする一方、それが実現できなければ「日米同盟に悪影響を及ぼす可能性があり、外交・防衛上重大な損害を生じさせる」などと述べています。日米同盟を絶対の基準に、両政府の「最高レベル」での合意には一切口出しするなという問答無用の態度です。

 翁長知事は承認取り消しの理由について、政府が辺野古埋め立ての必要性として挙げる「抑止力」や「地理的優位性」などは実質的根拠に乏しいと指摘しています。これに対し、防衛局は、辺野古埋め立ての必要性は「国が判断すべき」であり、知事が「審査すべきであるとはいえない」などと述べ、ここでも政府の判断に疑問を差し挟むことすら認めない態度を示しています。

問われる日本の民主主義

 沖縄戦での甚大な犠牲と戦後の米軍基地の重圧による苦しみを強いられてきた県民の「新基地ノー」の声を一顧だにしない安倍政権の下で、日本の民主主義の在り方が根本から問われています。今こそ、新基地建設断念、普天間基地の無条件返還を求める沖縄に連帯するたたかいを全国でさらに大きく発展させようではありませんか。


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