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2015年9月18日(金)

戦争法案 国民の批判恐れ耳ふさぐ与党

だれの声を聞いているのか

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(写真)自公の強行採決で混乱する参院安保法制特別委員会=17日

 17日午後4時30分。安保法制特別委員会で不信任動議が否決された鴻池祥肇委員長が復席した瞬間、参院の与党議員がいっせいに委員長席を囲み、野党議員も詰め寄りました。ヤジと怒号が飛び交い、議事を進行させる鴻池委員長の声も聞こえない大混乱の中、与党議員らが突如、立ち上がって拍手しました。戦後最悪の違憲立法・戦争法案が、憲政史上に汚点を残す暴力的なやり方で強行採決された瞬間です。

未明のコール

 「強行採決するな!」 「憲法9条守れ!」

 この国の民主主義、希望、未来を信じ、国会周辺で17日未明までコールを響かせた若者たち。その声は、同じく未明までとどまっていたすべての国会議員の耳にも入っていたはずです。雨の中、17日も数万の人々が自らの意志で国会前に足を運び、抗議の声を上げ続けました。

 強行採決に加担した議員たちは、これをどう受け止めていたのか。だれの声を聞いて政治を行っているのか。

 「丁寧に説明して国民の理解を得るよう努力したい」。安倍晋三首相は7月15日、衆院安保特で与党単独の強行可決がなされた後、こう語りました。

 それから2カ月後の14日の参院安保特で、首相は「国民の理解が得られていないのは事実」だと認めました。民主主義政治の要となる「国民の理解」獲得に、ついに失敗したのです。

 「理解」を得るためには、相手の意見に耳を傾けることが必要です。しかし、自公両党は国民の意見を聞く場である15日の中央公聴会、16日の地方公聴会を単なる「セレモニー」として扱い、16日夕から採決強行に動きました。

 会期が27日まで残っているのに、18日までの戦争法案成立に固執するのは、19日からの連休中に国民の批判の声が高まるのが怖いからです。最初から国民の声をおそれ、聞く耳を持たない、それが大前提になっているのです。

米国への公約

 では、誰の声を聞いているのか。4月29日、米議会での演説で戦争法案の「夏までの成立」を公約した安倍首相は、国民無視・主権放棄の醜悪な姿をさらしました。

 日本共産党が参院安保特で暴露した、自衛隊統合幕僚監部・河野克俊統幕長の昨年12月17日の訪米記録では、戦争法案の成立について「何か問題はないか」と米側から問われた河野氏が、「(総選挙での)与党の勝利により来年夏までには終了するものと考えている」と公約していたことが記されていました。まさに国民ではなく、米国の声を聞いていたのです。

首相の下請け

 7月27日の参院本会議での審議入り以来、質疑をすればするほど戦争法案の違憲性・危険性が浮き彫りになりました。政府側の答弁が二転三転し、混乱する状況が繰り返されました。法案の賛否以前に、およそ審議が尽くされたとは言いがたい状況です。

 それにもかかわらず、採決を強行した鴻池委員長。8月3日の委員会で、参院の存在意義について、こう力説していました、

 「先の大戦の反省から、貴族院がとめられなかったあの軍部の戦争にいたった道を十分に反省しながら、先人が参院の存在を一生懸命つくりあげた」「参院は衆院のコピーではなく、首相官邸の下請けでもない」

 鴻池氏は自らの言明に反し、戦争につながる法案の、衆院以上の暴力的なやり方での可決に手を貸し、安倍首相の「下請け」に成り下がったのです。

 政府・与党は一気に参院本会議での可決・成立を狙っていますが、17日夜になっても国会前の怒りの声は一向にとどまるところを知らず強まる一方です。この声を聞かない議員は、議員としての資格はありません。

 (竹下岳)


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