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2015年8月18日(火)

派遣法改悪案 「施行延期」必至に欠陥明らか

「みなし制度」を骨抜きに

「廃案以外ない」声広がる

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 安倍内閣が今国会で成立をねらう労働者派遣法改悪案が、9月1日の施行日を延期する「法案修正」の事態に直面しています。審議途中で施行日を修正しなければならない欠陥法案は、廃案以外にないことが鮮明になっています。(深山直人)


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 改悪案は6月19日に衆院で強行可決したものの、年金情報漏えいや戦争法案の強行採決の影響で、参院では2回の審議と公聴会が行われただけです。

 改悪案が成立のあとに41項目にものぼる政省令を労働政策審議会にかけなければならず、最低でも1カ月程度が必要。9月1日の施行日に間に合わないことは誰の目にも明らかです。

 しかも、法案修正を行えば、改悪案より1カ月後に施行させる予定の「労働契約申し込みみなし制度」についても、法案修正をしなければならない可能性も出ています。

労働者への背信

 「みなし制度」は、違法派遣があれば派遣労働者を派遣先の企業に直接雇用させる制度です。「派遣切り」を批判する世論に押されて2012年、自民、公明両党なども賛成して成立。施行は3年後の今年10月1日とされました。その施行日を変えることになれば、労働者に対する背信行為です。

 重大なのは、派遣法改悪案が施行されると「みなし制度」が骨抜きにされてしまうことです。

 派遣の受け入れ期間(期間制限)は、専門業務を除いて1年、延長しても3年が上限です。正社員を派遣社員に置き換える「常用代替」を防止するためです。業務を続けたければ派遣労働者を直接雇用せざるをえません。

 ところが改悪案は、3年で人を入れ替えるか、部署を変えれば何年でも受け入れることができます。専門業務を装って期間制限を逃れる必要もなくなり、「みなし制度」はほとんど発動されなくなってしまうのです。これは経団連や派遣業界が求めてきた骨抜きです。

 これにこたえて厚労省は、「みなし制度が施行されると混乱を招く」という口実で改悪案を先に施行させ、「みなし制度」を発動させないようにする考えでした。「みなし制度」の発動について「経済界が懸念している」という内部文書まで作成して、与野党の国会議員工作を展開していました。

財界のいいなり

 ところが、派遣法改悪施行延期で「みなし制度」も延期すれば、“みなし制度を骨抜きにした上、施行まで延期するのか”との批判を免れません。厚労省内では「みなし制度」の施行日は変えず、その直前に改悪案を施行させることも検討しています。しかし、そうなれば改悪案施行から「みなし制度」施行までほとんど日数がなく、周知徹底ができません。財界いいなりで骨抜きを狙い、自ら招いた矛盾です。

 改悪案の中身も、参院での序盤の審議だけで問題点が浮き彫りとなっています。

 塩崎恭久厚労相は、派遣の期間制限を何度でも延長することが可能であり、「(派遣が)制度上は続いていくことはあり得る」と認めました。「常用代替」の防止という労働者派遣制度の根幹を突き崩すことを自ら認めたものです。

 労働者からは「二度も廃案になり、審議途中で法案修正せざるをえない欠陥法案は廃案にすべきだ」「“生涯ハケン”を押し付け、みなし制度を骨抜きにする法案は施行延期でなく、廃案にする以外にない」との声が広がっています。


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