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2015年8月9日(日)

18歳選挙権 自民党「提言」

高校生の主権者権利踏みにじるもの

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 来年実施の参院選から選挙権年齢が「18歳以上」へ引き下げられるのにともない、自民党が「学校教育の混乱を防ぐため」と称して「提言」を安倍晋三首相に提出しています。教員への統制を強め、新たに選挙権を持つ高校生の権利を踏みにじる危険な内容です。

 提言は「学校における政治的中立性の確保」を繰り返し、学校現場で“混乱が懸念される”として9事例を提示。高校生の政治活動は「学校内外において生徒の本分を踏まえ基本的に抑制的であるべきとの指導を高校が行えるように」と求めています。

 教育内容への介入も打ち出しています。「政治参加に関する教育を抜本的に充実」として、新科目「公共」(仮称)の創設や、学習指導要領の抜本的改定の推進などを示し、「(高校生が)一党一派に偏った政治的活動に巻き込まれることとは峻別(しゅんべつ)する必要がある」と指摘。政治的活動に一線を画すよう指導が必要としているのです。

 教員に対しては「政治的行為の制限違反」への罰則に言及。教員の「偏向を防ぐ具体的手立て」の確立を求めています。さらに「政治的中立性の確保」を理由に教職員組合の収支報告を義務付けることなどを求めていますが、これらは労働組合への不当な介入をまねくおそれがあります。

 提言は繰り返し「政治的中立性」を強調しますが、国が教育に対して果たすべき責任は、条件整備などによって教育の営みを支えることです。教育内容への言及や、教員への懲罰を科すことは、教員の思想・信条の自由や政治的自由を侵害するとともに、憲法が保障する「教育の自由」を侵すものです。

 そもそも「政治活動は基本的に抑制的であるべき」と指導せよと求めることは、主権者である高校生が当然持っている、思想信条の自由や政治的自由などの権利を踏みにじることになりかねません。

 制度改正の前に行われた「政治倫理の確立及び公職選挙法に関する特別委員会」(5月29日)でも参考人の早田由布子弁護士が、学校現場はすでに政治を語ることに対する萎縮が進んでいるとして「政治について自由に語られる場がなければ、子どもたちが多様な意見に触れ…自分の意見を養うということもできなくなる」と指摘しています。(北野ひろみ)


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