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2015年8月8日(土)

自民・武藤氏 戦争法案反対の学生攻撃

まるで戦前の国家主義

擁護の安倍政権も同質

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 戦争法案を推進する勢力の憲法無視、批判切り捨ての体質が際立っています。「法的安定性は関係ない」と暴言を放った礒崎陽輔首相補佐官に続き、自民党の武藤貴也衆院議員がインターネットの短文投稿サイト・ツイッターで、戦争法案に反対する「SEALDs」(シールズ=自由と民主主義のための学生緊急行動)について「自分中心、極端な利己的考え」と攻撃。わき上がる批判に、安倍晋三首相は何ら対応せず擁護しています。

文化芸術懇の一員

 武藤氏は、言論弾圧発言で厳しい批判を浴びた安倍首相を支持する自民党若手議員グループ「文化芸術懇話会」のメンバー。武藤氏は「SEALDs」に対し、「彼ら彼女らの主張は『だって戦争に行きたくないじゃん』という自分中心、極端な利己的考えに基づく。利己的個人主義がここまで蔓延(まんえん)したのは戦後教育のせいだ」(7月30日付)と投げつけました。

 「戦争に行きたくない」との訴えを「利己的考え」と攻撃すること自体、法案が「国民の命と平和な暮らしを守る」(安倍首相)ものではなく、まさしく戦争法案であることを告白したもの。その発想は、国のために進んで戦争に行き、命をささげることを無上の美徳とする戦前の価値観に通じます。

 戦前の「教育勅語」(1890年)は、「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤(じょう)無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」(国家の危機に際しては、国のために尽くして、永遠に続く天皇中心の国家体制を支えるべきだ)と教えていました。「勅語」は、太平洋戦争に突き進む国家総動員体制の思想的支柱となりました。「軍人勅諭」では、「死は鴻毛より軽しと心得よ」(死ぬことは水鳥の羽よりも軽いことだと肝に銘じろ)と命じていました。

日本国憲法を敵視

 「戦争に行きたくない」という思いを「極端な利己主義」と攻撃する思想は、こうした国家主義、全体主義に基盤を持ちます。戦争が人権の最大の敵であるという立場に立つ、日本国憲法を真っ向から否定するものです。

 武藤氏は2012年7月23日付のブログで国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の原則について「この三つとも日本精神を破壊するものであり、大きな問題をはらんだ思想だ」と憲法を敵視しています。

 自民党の憲法改正草案は、国民の「国防の義務」を規定し、憲法9条を全面解体して「国防軍」の保持、「軍事審判所」の設置を規定。人権の永久不可侵性を規定した憲法97条を全面削除し、国民に「憲法尊重擁護」の義務を課すなど、権力を規制するという憲法の役割を全く逆転させています。

 武藤氏の暴言に自民党の谷垣禎一幹事長は「舌足らずな発言だ」という程度の認識。安倍政権・自民党と武藤氏はまったく同じ空気を吸っているのです。

 (中祖寅一)


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