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2015年8月4日(火)

東京・調布市 小型機墜落事故から1週間

住民や自治体の意向無視

国の無責任な対応

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 東京都調布市で小型プロペラ機が墜落、住民を含む8人が死傷した痛ましい事故(7月26日)から約1週間。国の運輸安全委員会が事故原因を調べていますが、住民、自治体の意向を無視してきた国の対応が問題になっています。(遠藤寿人)


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(写真)小型プロペラ機が墜落した事故の現場。事故から1週間がたっても規制線が張られ、墜落した民家の一部はブルーシートで覆われています=2日午後、東京都調布市

「協定」も「覚書」も守られず

 「まさか小型機が禁止されている遊覧飛行などに使われていたなんて驚いたわ」―。そう話すのは1989年から調布市で「飛行場問題を考える市民の会」の運動を続ける元日本共産党調布市議の飯野久子さん(77)。「住宅密集地での飛行は危険」と「飛行場の廃止」を求め署名運動などをしていました。「長い間運動をしてきたけど、“慣熟飛行”なんて言葉を一度も聞いたことなかったわ」と話します。

 調布飛行場(三鷹市、府中市にまたがる)は1941年に開設。戦後米軍に接収され、73年に全面返還されました。伊豆諸島と東京を結ぶ拠点で92年から都が管理、2001年開港しました。

 住民は住宅密集地であることから、飛行場使用に反対。71年、市議会が全員一致で反対、住民の3分の1の反対署名を集めました。旧運輸省も移転先を見つけられず、80年、小型機が調布中学校の校庭に墜落する事故が発生しました。

 その後、同省と都が、調布飛行場をコミュータ空港(地域空港)にする構想を発表。調布市は存続条件として安全・騒音対策など「27項目の協定」(96年)と「覚書」(97年)を東京都と交わしました。

 そこには、パイロットの目視に頼って飛行する「有視界飛行」であること。離着陸回数の制限。遊覧飛行の禁止。航空管制の配置など飛行場の運用を厳しく制限していました。

 しかし、「協定」や「覚書」は守られてきませんでした。年に1度の飛行場まつりで体験飛行と称し「遊覧飛行」を行っていました。

 今回の事故もパイロットの技量維持を目的とした慣熟飛行と称した「遊覧飛行」が常態化していた疑いがもたれています。飛行計画書をチェックするのは国土交通省の東京航空事務所ですが、同省は「運航実態の確認まではしない」と野放し状態です。

 同省は2006年に管制官を撤退させました。都は「管制官を残すように国に要望したが国の判断で撤退した」と回答します。都は08年4月から、フライト情報の提供を、「財団法人 航空機安全運航支援センター」に委託しています。

 国土交通省によると全国97空港のうち、管制官がいない空港は53空港あります。そのうち調布飛行場の着陸回数は7117回(発着はおおむね2倍)とダントツに多くなっています。

 調布飛行場対策協議会委員の村田キヨさん(75)は「離着陸事故はいつ起きてもおかしくないと思っていた。飛行場内では胴体着陸などが起きている。飛行場は移転してほしい。遊覧飛行は実際にやられている。都も知っていたのではないか。ごまかさないでほしい」と話します。

 飯野さんは「国や都の責任がどれもあいまいだ。徹底した事実の究明と抜本的な規制の強化が必要です」と批判しています。


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