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2015年7月23日(木)

背信の骨太方針

社会保障費に「キャップ制」

小泉路線の復活・拡大

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(写真)中央社会保障推進協議会がおこなった、医療保険制度改悪法案に反対する緊急宣伝・署名行動=5月15日、東京・新宿駅西口

 安倍内閣が閣議決定(6月30日)した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2015」。社会保障を「歳出改革の重点分野」と位置づけ、社会保障関係費の伸び(自然増)を「3年間で1・5兆円」、年平均5000億円を「目安」に抑え込む方針を明記しました。社会保障の「自然増」を毎年2200億円削減し、「医療崩壊」「介護難民」をつくりだした小泉内閣の「上限キャップ」路線の事実上の復活・拡大です。

1・5兆円まで

 「骨太方針」は、社会保障関係費の過去3年間の増加分が1・5兆円だとして、「その基調を2018年度まで継続していくことを目安とし、制度改革に取り組む」と打ち出しました。安倍首相はこれまで「削減額を機械的に決めるやり方はしない。効率化、制度改革を行って範囲内に収めていく」(5月26日、参院厚生労働委員会)としてきました。「目安」とはいえ機械的な上限枠を設けることは明らかです。

 過去の自然増(概算要求)は8400億円(13年度)、9900億円(14年度)、8300億円(15年度)でしたが、介護報酬削減など「効率化・制度改革」で年5000億円に抑制してきました。それを今後も続けようというのです。社会保障の自然増は年8000億〜1兆円。「上限キャップ」による削減は年3000億〜5000億円になります。

 「骨太方針」は自然増について、「高齢化による増加分」と「消費税率引き上げとあわせて行う充実等」は認めるとしています。

高齢化以外は削減

 しかし、厚労省は、物価・賃金上昇や医療技術の発展、障害者関係費など「高齢化以外の部分がある」と指摘。塩崎恭久厚労相は経済財政諮問会議で、「高齢化以外の伸び」が考慮されないと「高齢化による増加分を機械的に削減しなければならなくなる」と述べています。「充実」といっても、消費税増税は社会保障の「充実」に回っていません。今年度増税分8・2兆円のうち「充実」分は1兆3500億円です。

 「骨太方針」は、75歳以上の窓口負担引き上げ、介護保険「軽度者」の市町村事業への移行など負担増と給付減がめじろ押しです。

 病院ベッドの削減計画を都道府県につくらせ、医療費の少ない県を基準に自治体同士を競争させて削減していく方針です。年金支給額を自動的に減らす「マクロ経済スライド」の強化、生活保護もさらに切り下げる方針を示しています。

 「公的サービスの産業化」を掲げて、公共サービスを民間企業のもうけ口に変えようとしています。カネのあるものしかサービスが受けられなくなり、公共サービスの後退・縮小をもたらします。

 日本医師会は小泉政権の医療政策について給付費抑制、家計負担増、官による医療費コントロール、民間企業への利益誘導を特徴にあげていました。今回の骨太方針はこの特徴とぴったりです。

 しかし、これは国民との矛盾を深めざるをえません。厚労省の審議会でも「セーフティーネットの弱体化につながる」などと批判の声があがっています。(深山直人)


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