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2015年7月1日(水)

派遣法改悪 何をもたらす

「正社員ゼロ社会」つくる

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 安倍晋三政権が成立をねらう労働者派遣法改悪案。7月上旬にも参院で審議入りする予定です。改めて、派遣法改悪案の問題点はどこにあるか、労働者派遣制度はどういうものか、を考えます。


派遣が雇用の中心に

 派遣法改悪案は、▽派遣は「臨時的・一時的」な業務に限る▽「常用雇用の代替」禁止―という二つの大原則を根底からくつがえす大問題を抱えています。

期間制限の廃止

 一つが、期間制限の事実上の廃止です。

 現行法では、工場のラインや企業の課などの業務ごとに、一般業務の派遣を受け入れられる期間の制限は「原則1年、最長3年」です。3年を超えると、同じ課やラインで派遣を受け入れることはできません。このとき、該当する業務を継続するなら、「臨時的・一時的」業務ではなくなり、派遣先の責任で直接雇用にすることが求められます。

 しかし改悪案は、派遣先企業が3年を超えて派遣を受け入れようとする場合、労働組合の意見を聞くだけで延長できます。労働組合が反対しても延長可能です。

 あわせて、派遣労働者個人の派遣期間が3年とされることです。3年を超えても、同じ派遣先の課を変えるだけで、直接雇用に転換されずに派遣として雇用され続けることになります。「生涯派遣」「正社員ゼロ」と批判される理由は、ここにあります。

 期間制限の目的は、「常用雇用の代替」防止です。その廃止は「常用代替」を容認し、直接雇用原則から、「ピンハネ」による低賃金と不安定雇用の派遣を雇用の中心にすえることになります。雇用原則の根本的な転換につながるものです。

派遣脱出閉ざす

 もう一つが、派遣から正社員に転換する道を閉ざしていることです。

 現行法は、3年を超える業務で労働者を受け入れようとする場合、派遣労働者に直接雇用を申し込むことが義務づけられています。

 改悪案は、この条項を削除。厚生労働省は、その理由として、期間制限違反などの違法派遣があった場合、派遣先が労働契約を申し込んだとみなす制度(みなし制度)が今年10月1日に施行されることをあげています。

 しかし厚労省は、「みなし制度が施行されることを避けたい」との「経済界の懸念」を明記した「10・1問題」とする文書を作成。「みなし制度」が発動されなくなる改悪案を9月1日に施行できるよう、早期成立にむけ与野党一部の議員に工作していました。

 安倍首相は、雇用安定やキャリアアップ措置を盛り込み、正社員への道を開くものだと繰り返し強弁しますが、制度的な保証は一切ありません。

 「生涯派遣」「正社員ゼロ社会」をもたらす歴史的な大改悪法案は、廃案にするしかありません。

図

「非人道的な悪習」の復活

 派遣労働は、雇い主から賃金を「ピンハネ」され、別の企業に貸し出されて働く不安定な雇用形態(間接雇用)なので、あくまでも「例外」として制限をつけて認められている働き方です。

 今回の労働者派遣法改悪案は、その制限を取り払って賃金「ピンハネ」労働が当たり前の状態をつくろうとするものです。

 戦前の日本は、労働者の就職に「口入屋」などといわれる、いまでいう人材派遣会社が介在し、「不当な賃金搾取やその他の非人道的な悪習が伴い、女工哀史等のよって生ずる一因」(厚生労働省労働基準局編『労働基準法』)になっていました。こうした「封建的遺制」を排除するため、戦後、職業安定法と労働基準法によって間接雇用、「ピンハネ」を禁止しました。

 企業は、労働者を雇いたかったら、ハローワークなどを利用して募集し、応募した労働者と直接雇用契約を結んで自分の会社で働かせる―これが雇用の本来の姿です。中間業者が介入して賃金を「ピンハネ」する派遣労働は、労働者にとって害こそあれ何の益もありません。

写真

(写真)衆院での派遣法改悪案の採決強行に抗議の宣伝行動をする労働者ら=6月19日、東京・新宿駅西口

 しかし、企業にとっては別です。企業は、正社員雇用に比べてコストの低い派遣労働者を調達できるなら、派遣を選びます。厚生労働省のデータでも派遣労働者の賃金は時給計算で1351円。正社員の1921円に対して7割です。

 雇用責任がないので、社会保険の負担をまぬがれ、労働者から待遇改善を求められても交渉義務もありません。景気の良しあしで簡単に解雇できます。

 一方、人貸し業である人材派遣会社は、労働者を企業に貸し出して賃金の3〜5割を「ピンハネ」して利益をえます。派遣会社が「わが社の派遣を使ったほうが得ですよ」と、企業にセールスの大攻勢をかけたら、正社員の派遣への置き換えが大規模にすすむことは明らかです。

 法律で人貸し「ピンハネ」業を禁止するのは労働者を保護するために当然のことです。それを財界の要求で解禁したのが1985年に制定された労働者派遣法です。しかし、派遣労働が常態化されないように、「臨時的・一時的」な業務に制限し、正社員を派遣に置き換える「常用雇用の代替」禁止を原則にしています。

 同一業務での派遣期間を最大3年とし、それを超えたら労働者に直接雇用を申し込むこと、違法派遣があったら直接雇用したと「みなす」などを派遣先企業に義務づけていることは、その原則を担保するものです。


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