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2015年6月30日(火)

2015 焦点・論点

夫 菅原文太の遺志継ぎ 沖縄に心寄せる

辺野古基金共同代表 菅原 文子さん

“日本は再び戦争しない”その願い立ち枯れぬよう声あげる時

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 俳優の故・菅原文太さんは、昨年11月、沖縄県知事選挙で翁長雄志氏(現知事)の応援に立ち、約1カ月後急逝しました。妻の菅原文子さんはその遺志を継ぎ、今年4月、米軍新基地建設に反対する「辺野古基金」の共同代表の一人に就任しました。その思いは――。 聞き手 内藤真己子


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(写真)すがわら・ふみこ 1942年東京生まれ。立教大学卒。2009年山梨県北杜市で夫らと、農業生産法人・おひさまファーム竜土自然農園を設立。完全無農薬の有機農業を営む。
撮影・片桐資喜

 ―基金の共同代表に就かれたわけを聞かせてください。

 「落花は枝に還(かえ)らず」といいますが、夫は小さな二つの種をまいて去りました。一つは、先進諸国に比べて格段に生産量の少ない無農薬有機農業を広めること。もう一粒の種は、日本が再び戦争をしないという願いが立ち枯れ荒野に戻ってしまわないよう、ともに声をあげることです。今も生者とともにあって、これらを願い続けているだろうと思います。

 3・11の福島原発事故のあと彼は「俳優はやめた」といったのです。「おれが俳優やっている時代じゃない」と。

宿題を置き去り

 日本はあの時点で大きな転換をしなくちゃいけない、戦後ずっと宿題にしたまま抱えて置き去りにしてきた、いろんな問題がここへ来て噴出しました。「原発村」をはじめ既得権益にぶら下がっている人たちにガチガチに固まった日本。「これはいかんぞ」ということですよね。そのなかでも沖縄問題が一番大きいのではないでしょうか。

 観光地以外の沖縄を知る人たち、沖縄に友人がいる人たちは、沖縄だけがいまも特殊な“戦時下”に置かれているということを知っています。

 あそこから米軍機が攻撃に飛び立っていくのは、沖縄が戦時下に置かれているのと同じことを意味します。

 こんど安倍首相が、憲法解釈を変えて集団的自衛権の行使、武力行使を認める安保関連法制を通そうとしています。でもそれでは日本全体が沖縄と同じになります。3人の憲法学者がいうようにこの法案の違憲性は、はっきりしている。それを押し通そうとするのは無法国家ですよ。

 「後方支援」といったって早い話が兵たんだから。これは軍の一番枢要な役割で、武力行使の一翼を担っています。アメリカやオーストラリアに「後方支援」をすることになったら、自衛隊員だけに危険があるんじゃなくて、私たち普通の暮らしをしている人間も、危険にさらされるということを考えた方がいい。

 辺野古基金の共同代表を引き受けたのは、新基地建設に反対している翁長県知事を応援し、支えたいという気持ちが一つ。もう一つは辺野古の問題は日本の今後を占う非常に大きなテーマを含んでいると思ったからです。

 沖縄は米軍基地があるゆえに普通に暮らすことに制約があるわけです。沖縄本島の面積の18%が米軍基地で占有されている。日本国憲法で保障された居住の自由など人権が侵害されています。軍用機ががんがん飛びまわっていて、普天間基地の辺りなど音がうるさく、人の住む環境を超えています。

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(写真)沖縄県知事選で翁長雄志氏(右端、現知事)の応援に臨む菅原文太さん=2014年11月1日、那覇市

時代遅れの同盟

 ―ところが安倍首相は日米同盟を強化し、アメリカが世界のどこででも戦争を起こしたら、自衛隊を参戦させようとしています。

 日本の戦後は大国アメリカと二人三脚で、日米安保体制に縛られた時代でした。それが沖縄にもっとも集約されています。「憲法よりも上に安保がある」という人もいる。しかし日米安保条約は、こちらが変えようと思えば廃棄できるんです。同じ民主主義を奉じる国としての関係はあってもいいだろうけど、従属した軍事的同盟はもう時代遅れで必要ありません。「しょうがない」といって受け入れた人も、今考え直す時期じゃないでしょうか。

 そもそも安保条約は成り立ちからしてアメリカの意図が明々白々ではないですか。アジア大陸にむけて首輪のようにちょうどいい位置に日本列島がある。各地の米軍基地と自衛隊を一体化すれば、日本列島が全部基地の島になってしまいます。

 憲法9条をもつ日本国憲法を「アメリカの押し付けだ」と言う人もいるけれど、70年間戦争をせずに日本人が3代にわたって守ってきたもので、血となり肉となっています。日本国憲法はもう日本の“固定種”です。堂々と誇りを持って将来に引き継いでいくべきです。

本気度問われる

 ―菅原文太さんは翁長さんの応援で「政治の役割で最も大事なことは、絶対に戦争をしないことだ」と訴えられ、感動を呼びましたね。

 がんの闘病中で体力も衰えていたなか、沖縄まで行って1万5000人もの人の前に立つのは、自分の限界を超えてやったことです。いま日本人は、そうした本気度が問われていますね。沖縄は戦後70年にわたって米軍基地を押し付けられ、何回もそのことを考えてきたので鍛えられてきたのだと思います。

 まず全国の力で安倍内閣の安保法制をつぶすことが大事です。これを崩せば勢いを止めることができる。本土も沖縄と思いを一つにして安保法制をやめさせる、世界が注目するようなたたかいをやらないといけないのではないかと思います。

 辺野古基金 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に反対する運動を物心両面から支援する基金。共同代表は菅原文子さんのほか、映画監督の宮崎駿氏、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏、元外務省主任分析官の佐藤優氏ら9氏。寄付金は6月24日現在、約3万8000件、約3億6000万円になります。


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