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2015年5月30日(土)

主張

財政「健全化」計画

「再増税も福祉削減も」が本音

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 安倍晋三政権の経済財政諮問会議などで、2020年度の基礎的財政支出の黒字化に向けた財政「健全化」計画の検討が大詰めを迎えています。経済財政諮問会議は社会保障などの歳出削減を中心にした報告を6月中にまとめる予定で、それに先立ち財務相の諮問機関である財政制度等審議会は週明けにも建議を取りまとめます。諮問会議も財政審も、16年の参院選もにらんで17年4月までは新たな消費税増税は行わない前提ですが、財界などはあからさまに消費税の再々増税を求めており、消費税増税も福祉などの削減もというのが安倍政権の本音です。

経済・財政一体改革とは

 安倍政権が財政「健全化」の目標としている基礎的財政支出(プライマリーバランスという)の黒字化は、政府の政策経費を国債発行に頼らず税収などでまかなうことです。15年度でもその差額は16・4兆円あります。経済財政諮問会議に提出された試算では、実質2%、名目3%の経済成長を実現しても20年度にはまだ9・4兆円不足するので、歳出、歳入両面の「改革」で「黒字化」を実現するといいます。「経済・財政一体改革」というのが触れ込みです。

 日本の財政の借金は国内総生産(GDP)の2倍を超え、国際的に見ても異常に高い水準で、基礎的財政支出が黒字になっても借金がなくなるわけではありません。しかも諮問会議が持ち出しているシナリオ自体、現実離れした高い経済成長を前提にしたもので、実現の可能性はほとんどありません。消費税の再増税という苦い薬は隠しておいて、「経済・財政一体改革」の名で、社会保障や教育などの歳出削減を国民に押し付けるためといわれても仕方がないでしょう。

 経団連など財界団体は、財政「健全化」のためには基礎的財政収支を黒字化するとともに財政健全化を「法制化」し、さらに30年までには消費税率を10%後半まで引き上げることを要求しています(経団連提言)。諮問会議も当面は17年4月からの消費税率10%の実現を掲げるだけで、それ以降の増税はしないといっているわけではありません。消費税の再々増税に踏み出す危険性は見落とせません。

 重大なのは、「経済・財政一体改革」なるものの中身です。諮問会議の歳出改革の検討はまだ途中ですが、社会保障を財政改革の「本丸」と位置づけ、医療・介護給付費のカットと利用者負担増、社会保障サービスの「産業化」促進などの項目が上がっています。文教関係でも学校統廃合や教員数削減、国立大学交付金の重点配分などが課題です。文字通り財政「健全化」をテコに、福祉も教育も切り詰めるものです。

消費税に頼らぬ再建こそ

 消費税の増税は先送りしても、社会保障や教育など国民生活向けの予算を削減すれば、国民の暮らしは悪化し、経済も財政もいっそう行き詰まります。消費税に頼らない財政・税制を確立するとともに、国民の暮らしが向上する対策をとってこそ、経済もよくなり、税収も増えます。軍事費や大企業向けの予算など、不要不急の予算を削減するのは当然のことです。

 異常な財政破綻のなかで、その再建は緊急の課題のひとつです。政府が一方的に結論を押し付けるのではなく、国民の立場に立った再建策が求められます。


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