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2015年5月28日(木)

都が新銀行東京撤退へ

地銀グループと経営統合交渉

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 東京都が出資して設立した新銀行東京(新宿区)と、東京都民銀行(港区)と八千代銀行(新宿区)の持ち株会社である東京TYフィナンシャルグループ(FG)は27日、経営統合を行う方向で、交渉を進めていることを認めました。新銀行東京がTYFGの傘下に入る方向で協議を進めており、今秋に最終合意をめざします。

 都は新銀行東京の議決権のある株式の84・22%を保有しています。都は新銀行東京の株式と、TYFGとの株式交換を行い、出資金の一部を回収したい意向です。

 関係者によると、新銀行東京は新たな中期経営計画を策定(15日)する際、経営陣は、本店しかない店舗を増やし業務を拡張したいとの意向でしたが、都側は、店舗を増やすことはリスクが大きく、他行との経営統合を優先すべきだと主張したといいます。

 都のある幹部は「経営統合は都にとってもメリットがある。都が追加出資した400億円は何としても取り戻したい」と話しています。

 TYFGは、東京都民銀行と八千代銀行が2014年10月に経営統合して発足しています。

解説

税金むだにした石原元知事

 新銀行東京が東京TYFGの傘下に入ることが実現すれば、都は銀行経営から手を引くことになります。都の出資金残高は470億円余で、今後出資額をどれだけ回収するのかが焦点になる見通しです。

 銀行を設立する際、石原元知事は「今回出資する1000億円が、やがて数兆の値になる」(2004年3月都議会)と大言壮語していました。

 しかし、銀行が開業して以降は赤字が膨らむ一方でした。石原都政が押し付けた無謀な銀行経営計画に基づいて、支店と行員、ATMを急激に増やしたものの、コンピューター頼みのずさんな融資審査で貸し倒れが急増。元行員と金融ブローカーが関与した詐欺事件が続出しました。

 都は税金1400億円を出資したものの、損失を帳消しにする減損処理で855億円を失い、大きな批判の声が上がりました。

 同行は「順調に経営再建をすすめてきた」としていますが、収益構造を見ると、13年3月期決算までは、有価証券利息配当の方が貸出金利息より多いという「いびつな形」でした。15年3月期決算では、資金運用収益59億円のうち貸出金利息は31億円で、有価証券利息配当金21億円を上回りました。

 都が設立理由としていた「中小企業への支援」も、15年3月時点の中小企業向け貸出金残高は1280億円にとどまり、小零細企業への貸し出しは不十分で実態的に役割を果たしていません。

 日本共産党は銀行設立に反対し、銀行経営から手を引くよう求めてきました。

 新銀行の設立・出資を強引に進め、税金をむだにした石原元知事と一部幹部、出資に賛成した都議会の自民党、公明党、民主党の責任は重大です。 (岡部裕三)


 新銀行東京 石原慎太郎知事(当時)のトップダウンで都が1000億円を出資し2004年4月に設立、05年4月に開業。08年3月期決算で累積損失が1016億円と破綻状態に陥り、都出資のうち約855億円を棄損しました。都から08年に400億円の追加出資を受け、10あった店舗を本店だけに縮小、ATMも全面撤去し経営再建を進めてきました。15年3月期決算で6年連続の黒字を確保しています。


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