「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2015年5月18日(月)

NHK「日曜討論」 小池副委員長の発言

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 戦争法案の閣議決定後初の政党間討論となった17日のNHK「日曜討論」。各党の政策責任者がそろい、日本共産党の小池晃副委員長は、戦争法案は「憲法破壊にほかならない」と厳しく批判しました。


戦争法案

殺し殺される危険高まる 反対の一点で力合わせ阻止へ

 冒頭、自民党の稲田朋美政調会長は「平和安全法制」と称した戦争法案について「日米関係を強化することで抑止力を深め、国際社会の平和と安全に貢献することが日本の安全・平和につながる」と強調しました。小池氏はこう批判しました。

 小池 (首相は)「平和安全法制」といわれたが、それこそ無責任なレッテル(貼り)だ。「戦争法案」と私たちはなぜ呼ぶのか。第一に、米軍支援で、いままで行かないといっていた「戦闘地域」にまでいって軍事支援する。これは自衛隊員が殺し、殺されるという危険が高まる。PKO(国連平和維持活動)だけではなく、国連が統括しない活動にも広げていく。治安維持活動で任務遂行のための武器使用をすれば、3500人近い犠牲を出したアフガンのISAF=国際治安支援部隊のような活動にも参加の道が開かれる。そして、集団的自衛権で文字通り米軍の戦争に参戦をすると(いうことになる)。

 結局、夏までに(法案を)通すというのは、いまどんな世論調査をやっても反対の声が強いから、それが広がる前に通そうということだ。国会内外で立場の違いを超え、反対の一点で力をあわせて何としてもこの希代の悪法を阻止したい。

 これに対して自民・稲田氏は「(憲法)9条、平和主義のもとで、改正の目的を端的、究極的にあらわした言葉が『平和安全法制』だ」と弁明。「戦争法はレッテル貼りだ。海外でどこでもいって武力行使するというのは違う」と強弁しました。

「戦闘地域」まで行って後方支援 攻撃されたら戦闘行為に発展

 議論は、米軍をはじめ外国軍に対する自衛隊の後方支援活動にも及び、自衛隊の活動地域をめぐって「周辺」という地理的概念を外したことについて稲田氏は「世界情勢の変化をうけ、地理的制約ではなく事態に注目したことを明確にする名称の変更だ」と説明しました。

 小池 いまの説明と、先ほど“地球のどこでも出て行くわけじゃない”といったのは全く矛盾している。「周辺事態」という言葉もなくして、「地理的概念ではない」といったけれども、かつては地球の裏側まではいかないといっていた。それをまったく名実ともになくす。

 しかも問題は、後方支援の内容が、いままで「戦闘地域」といわれた場所まで行って、武器の輸送も弾薬の提供もやるわけです。これは、攻撃対象に自衛隊がなる可能性は極めて高まります。

 私は国会で「攻撃されたらどうするのか」と聞いたら、安倍さんは「武器を使用する」といった。こうなれば、もう戦闘行為に発展する危険性は極めて高い。首相は“武力行使を目的にイラク戦争のようなものに参加することはない”というけれども、こういう仕組みをつくってしまったら、「後方支援」で参加しても、結果として武力行使に発展していく。

 戦争法案は、日米安保条約の「効果的な運用に寄与することを中核とする」事態に米軍と連携して対処することをうたっています。これに関して公明党の石井啓一政調会長は「日本の周辺だけに、日本の平和と安全に影響を与える事態が起こるとは限定できないということで地理的概念を外した」と言明しました。これは、安保条約が適用される「極東」地域を地球規模に広げる重大な発言です。

稲田氏―自衛隊の活動「やや前に出る」

小池氏―サマワより危険な所に行くこと

 自民・稲田氏は「後方支援で武器使用できるのは、自衛隊員が身を守るためで、戦争や武力を行使するわけではない」と主張。自衛隊が従来の「非戦闘地域」ではない場所で活動することに関しても「やや前に出ることになろうが、近隣が危険になれば中止するとか、いろんな安全確保がきちんと制定されている」と説明しました。

 こうした与党の発言を小池氏は厳しく批判しました。

 小池 いま「やや前にでる」といったが、いままで「非戦闘地域」と言っていた所も非常に危険だといわれていた。(イラクの)サマワは、二十数発のロケット弾を撃ち込まれている。そこからさらに危険なところに行く(ということだ)。

 先ほど、稲田さんは、実際に(自衛隊が)攻撃対象になることも認め、その場合は「自己保存」のための武器使用を認めた。武器の輸送、弾薬の提供をして、それは戦争ではありません―。そんな議論が通用するはずがない。前線近くまで行って、攻撃されたら戦闘行為、武力行使に発展するのは誰がみたって明らかだ。

 先ほど公明党は“多くは日米安保(の範囲)だけれど、それ以外もある”と(言った)。結局、今度の仕組みは、日米安保の実質的な改定になる。安保条約を乗り越える世界規模の日米の共同作戦に、(自衛隊が)後方支援に入っていくことをお認めになった。日本の歴史を本当に変えるような法案を短期間で通すなんて許されない。

「新3要件」何の歯止めにもならず 集団的自衛権行使は「憲法破壊」

 集団的自衛権をどういう場合に行使するか。自民・稲田氏は「国民の生命身体、自由、存立が脅かされる事態を個別に判断していく」とのべるだけ。各党が「存立危機事態の定義があいまいだ。とてもじゃないが国会の審議に堪えない」(民主・細野豪志政調会長)などと批判するもとで、小池氏はこう語りました。

 小池 (武力行使の)「新3要件」というのは何の歯止めにもならない。「国民の権利が根底から覆される明白な危険」というのは、いかようにでも解釈できるし、ときの政権が判断する。しかも、特定秘密保護法のもとで必要な情報は国民に知らされない。

 結局、集団的自衛権の歴史をみれば、ベトナム戦争であり、旧ソ連のアフガン侵略、チェコスロバキア侵略、みんな侵略戦争の合理化のために使われた。いまもアメリカは一方的な武力攻撃、先制攻撃を否定していない国だし、日本はそのアメリカの戦争にいまだかつて一度も反対したことがない国だ。こういう戦争に日本の若者を駆り立てるということになってしまう。

 そもそも、集団的自衛権の行使は、歴代自民党政権が「現行憲法のもとではできない」といってきた。憲法を変える手続きすら踏まず、実行できるようにするなどというのは「憲法破壊」に他ならない。

派遣法改悪

「賃上げ」いいながら非正規増やす これほど矛盾した政策はない

 議論は「正社員ゼロ」に道を開く労働者派遣法改悪案に移り、自民・稲田氏は「派遣業を健全化する。雇用の安定と保護、派遣労働者保護の改正だ」と強弁するもとで、小池氏はこう批判しました。

 小池 いま国会の周りは、連合や全労連など労働組合のみなさんが「反対」で座り込んでいます。もし稲田さんがいうような法案であれば、経営者のみなさんが「反対だ」といって座り込みますよ。まったく違う中身ですよ、これは。

 いままで「常用雇用代替の禁止」、すなわち正社員を派遣社員に置き換えてはいけないという原則があったのをなくして、“原則1年、最長3年”という(派遣期間の制限の)歯止めをなくしてしまう。会社側は派遣労働者でずっとその職場を回していける。だからみんな反対しているわけで、これは正社員が減っていくことは明らかだ。

 だいたい、賃上げ政策を一方でいいながら、最大の賃下げ要因である非正規雇用を増やす―。これほどの矛盾した政策はない。世界では当たり前の同一労働・同一賃金、このルールこそ確立すべきで、やっていることがめちゃくちゃだ。残業代ゼロ法案じゃなく、長時間労働の規制をやらなきゃいけない。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって