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2015年4月15日(水)

医療保険制度改悪法案への

高橋議員の質問

衆院本会議

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 日本共産党の高橋千鶴子議員が14日の衆院本会議で行った医療保険制度改悪法案に対する質問は以下の通りです。


 2012年の民主党政権時代に、自公民3党合意によって社会保障と税の一体改革法が成立しました。翌年にプログラム法、昨年は医療・介護総合法が成立しましたが、本法案はこれら一連の法律と一体です。わが党はこうした「改革」は、社会保障を国民の自助や共助に矮小(わいしょう)化し、個人と家族の責任に課すもので、憲法25条に規定された国の責任を放棄するものであると厳しく批判してきました。

 1961年、すべての市町村で国民健康保険事業が実施され、国民皆保険制度が確立しました。市町村は地域住民の医療を守るため、努力を払って国保制度を築きあげてきたのです。しかし、歴代の政権による相次ぐ国庫補助の引き下げにより国保財政は極めて厳しい状態が続いてきました。

 360万戸を超える保険料滞納世帯、そのうち短期証や資格書の交付は140万世帯を超えます。全日本民医連が加盟医療機関の患者を調べただけでも32人もの方が保険証がないために治療が遅れ亡くなっています。高すぎて払えない国保料がこのような事態を招いていると思いませんか。

 「高すぎる保険料」は国民が必要な医療を受ける最大の障害となっています。「保険料」引き下げを求める運動が各地で取り組まれ、今回、財政支援の拡充3400億円が措置されたのも、こうした運動を一定反映してのものです。しかしなお、国保財政は、3500億円を超える一般会計からの繰り入れで維持されているのが現状であり、国保の財政基盤の強化をいうなら、国庫負担を元に戻し、さらなる財政支援の拡充こそ求められるのではありませんか。

 地方自治体が住民の健康を守る事業として取り組んできたものに乳幼児医療費助成制度があります。まず、この10年間でどれだけの県と市町村が取り組むようになったのか具体的にお答えください。また、こうした自治体独自の取り組みをどう受け止めていますか。

 今年2月の国と地方の協議の場でも、検討を進めるべき課題としてあげられたのが、乳幼児医療費無料化など地方単独事業にかかわる国庫負担の調整措置の見直しです。住民に喜ばれる子育て支援策として拡充を進めてきた地方の努力に対し、減額という形でのいわゆるペナルティーはきっぱりやめるべきです。

 今回の法案の最大の特徴は、国保の財政運営を市町村から都道府県に移管することにあります。都道府県は、年度ごとに市町村から国民健康保険事業費納付金を徴収し、市町村に対し国民健康保険給付費交付金を交付することになります。都道府県が、給付費等の見込みを立て、市町村ごとに納付金の額を決定し、さらに市町村の保険料の決定の際目安となる「標準保険料率」を示すとされています。

 今、多くの市町村は一般会計からの繰り入れを行い保険料率の上昇を防ぐための努力をしています。「標準保険料率」の設定がこうした努力を否定し、保険料の値上げにつながるものであってはなりません。あくまで市町村が決める保険料率に都道府県が口をはさむものではないと考えます。

 本法案には、医療費適正化計画の見直しがあげられました。都道府県は、医療・介護総合法に規定された地域医療構想と整合性が図られる医療費適正化計画を定め、医療に要する費用の目標を定めなければなりません。もともと医師不足による病棟閉鎖状態など、医療資源が不足している現状が追認され、医療の過疎化や医師不足を固定化することにはなりませんか。全国知事会は、現行の計画で「医療費の見通し」としているものを「目標」とすることに強い懸念を表明しています。結局、医療費抑制策を都道府県の責任に負わせるものではないでしょうか。

 次に、患者申出療養の創設について質問します。この制度は医療をビジネスチャンスにしようとする安倍内閣の成長戦略と結びついて、規制改革会議から持ち出された議論です。申出療養に期待する患者もいる半面、安全性の不確かな医療が出回ることや、事故の責任を患者に負わせる危険性があります。難病団体の代表は、こうした制度の創設がかえって、新たな治療や薬が保険外にとめ置かれ、難病法からも対象外となることへ懸念を表明しています。患者申出療養が想定しているのはどのような医療か、また、どのくらいの疾患数になるのでしょうか。逆に、保険診療適用への道が遠のくか、閉ざされることがあってはならないと思います。

 健康保険法の改正について質問いたします。中小の事業所の医療保険である協会けんぽに対する国庫補助は当分の間16・4%とされました。しかし財務省からの圧力もあって、本則規定は「13%から20%の範囲内で政令で定める」と、引き下げも想定された規定となっています。報酬水準が約370万円で推移しているにもかかわらず、協会けんぽの平均保険料率は、リーマン・ショック後8・2%から10%に引き上げられ、中小企業の従業員に重い負担となっています。むしろ上限の20%の国庫負担にすべきではありませんか。

 今法案がさらなる国民の負担増につながる点も重大です。紹介状なしで大病院を受診する場合等の定額負担の導入、入院時食事療養費の1食260円から460円への引き上げ、後期高齢者医療制度の保険料の特例軽減の廃止など、重い負担のために医療にアクセスできない人を増やしかねず、やめるべきです。

 一体改革という名での消費税増税が社会保障充実のためではまったくないことは明らかです。国民皆保険制度の原点にたち返って、一連の医療制度改革を抜本的に見直すことを求めます。


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