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2015年2月27日(金)

ミャンマー北東部 少数民族と国軍の戦闘拡大

難航する和平プロセス

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 【ハノイ=松本眞志】ミャンマー北東部シャン州コーカン地区で、今月9日に始まった国軍と漢民族系少数民族コーカン族の武装勢力「ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)」との戦闘が継続、拡大しています。政府が全国停戦協定を目指して少数民族武装勢力と進めている和平交渉や、今年予定の総選挙にも影響を及ぼすことが懸念されています。


 戦闘のきっかけは、2009年にコーカン地区の実効支配権をミャンマー国軍に奪われた武装勢力側が、支配権の奪回を目指したものとみられています。コーカン族武装勢力は推定2000〜3000人です。

 ミャンマー政府は、17日にコーカン地区に非常事態を宣言して戒厳令を発令。戦闘は継続し、現地メディアは双方合わせてこれまでに100人以上が死亡したと報じています。コーカン地区からは約3万人が避難し、中国雲南省にも数千人が避難したといいます。

 国軍側は、反政府のカチン独立軍(KIA)など他の少数民族武装勢力がコーカン族武装勢力を支援し、中国人の雇い兵も参加しているとの見方を示しています。一方、在ミャンマー中国大使館は17日、紛争はミャンマーの国内問題であり、中国は関与していないと表明しました。

 タイで発行されているミャンマーの反政府系月刊誌は、反政府活動家や人道支援活動家の話として、戦闘がコーカン地区を超えて拡大していると報道。MNDAAがパラウン族のタアーン民族解放軍(TNLA)、西部のラカイン族武装勢力などと協力関係にあるとしています。

 国軍側も軍事作戦を強化しています。少数民族武装勢力の幹部は、国軍がコーカン地区の中心都市ラオカイから兵士を乗せたトラック40台を現場に派遣したと述べています。

 12日は、「建国の父」アウン・サン将軍が英国からの独立後に少数民族の自治権を与えることを約束した「パンロン協定」の記念日でした。テイン・セイン大統領は、同日に16の少数民族武装勢力と「全土停戦協定」を締結することを目指していました。

 しかし、コーカン地区での戦闘激化は、政府、国軍、一部の少数民族間の意見の相違、全国規模での停戦協定締結の困難さを改めて浮き彫りにしました。

 連邦制で少数民族の自治権をどこまで認めるか、武装勢力の国軍編入を容認するか、武装解除の時期はいつか―。和平プロセスをめぐる態度の違いから、少数民族の間でも溝が深まっています。


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