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2015年2月15日(日)

「防護」規定を悪用 安保法制協議

逸脱解釈で「他国防衛」を拡大

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 政府は13日から再開した集団的自衛権行使容認を具体化する安全保障法制の与党協議会で、自衛隊の装備品などの破壊を防ぐための現行規定を拡大して、米軍を防護するだけでなく、「米軍以外の外国軍部隊」にも自衛隊の防護活動の対象を広げる方針を示しました。案は法制化の指針として国民の反対の中で強行した「閣議決定」(昨年7月)さえ踏み越え、「他国防衛」のための権限拡大を狙っています。


図

 「閣議決定」は、米艦船を平時から防護する仕組みをつくるため、自衛隊法95条の「武器等防護」規定に着目。自衛隊の武器や弾薬、船などを破壊や奪取から守るために自衛隊の「受動的な武器使用」を認めた同規定を、「米軍部隊の武器等」を防護する場合にまで拡大する方針を示していました。

対象無限定に

 しかし、13日の与党協議で政府側は、オーストラリア軍を例に米軍以外の「その他の軍隊の武器等」についても防護対象にすべきだと主張。「閣議決定」の記載を拡大解釈して、「他国防衛」の範囲を無限定にしようというものです。

 政府案に対して自民党側は賛成、公明党側は慎重な態度を示しました。

 そもそも自衛隊の装備品を守るための規定が、なぜ米軍の防護にまで拡大できるのかという根本問題について、与党協議で議論された形跡はほとんどありません。

 政府の提出資料によると、「日本の防衛に資する活動」に参加している米軍部隊の装備品については、「自衛隊の武器等に相当する重要な物的手段」だとして米軍防護の理屈付けをしています。「日本の防衛に資する活動」には共同訓練への参加も含まれるとしており、その範囲はきわめて広く、あいまいです。

 「武器等防護」は本来、自衛隊の武器庫などが襲撃された事態を想定したもので、あくまで発生現場での応戦が前提。「日本の防衛力を構成する重要な物的手段」とする自衛隊の装備と米軍の装備とを同列視するのは、重大な論理の飛躍です。

米防護の危険

 加えて、与党協議では防護のために米軍の作戦行動に自衛隊が加わることの危険性が一切議論されていません。

 政府は北朝鮮の弾道ミサイル発射を警戒中の米艦は応戦能力が低下するなどとして、防護の必要性を主張しています。しかし、「米艦自身が際どい情報収集をやっている場合もある」と自衛隊元幹部が指摘するように、米軍の“挑発”行為に自衛隊も一緒に加わることになりかねません。

 「武器等防護」のための武器使用を米軍にまで拡大すれば、現場判断だけで「反射的」な反撃が可能となります。閣議決定や国会承認といった手続きもなく、集団的自衛権行使を事実上前倒しして自衛隊が戦闘に加わる危険があります。(池田晋)


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