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2015年2月7日(土)

主張

介護報酬大幅削減

危機深める「愚かな策」撤回を

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 厚生労働省が6日、介護保険制度で介護サービス提供事業者に支払う公費である介護報酬の4月からの改定額を決定しました。特別養護老人ホームやデイサービスなどへの報酬を大幅に引き下げるなど、安心できる介護の充実を求める国民の声に逆行する内容です。介護現場からは、利用者にも従事者にも事業者にも「大きな損失をもたらす」と厳しい批判の声が上がっています。介護保険の壊滅的危機の引き金になりかねない大幅な報酬削減は撤回すべきです。

特養がますます苦境に

 介護報酬は3年に1度改定され、今回は報酬全体で2・27%引き下げました。2回連続の実質マイナス改定です。今回は、介護労働者の「処遇改善」の特別な加算を含んでいるため、その上乗せ分を除けば、4・48%と文字通り過去最大規模の引き下げです。

 消費税増税や「アベノミクス」による物価高などで介護事業の経費が増えるなか、マイナス改定を実行すること自体、介護のさまざまな分野で深刻な矛盾や困難を引き起こすものです。問題はそれにとどまりません。厚労省が決めたサービスごとの介護報酬は、特養ホーム、デイサービスなどの施設への報酬を大幅にカットする方針を打ち出しました。施設の運営と経営を直撃するものです。

 特養への基本報酬は個室でマイナス6%弱と平均下げ幅よりさらに削り込みました。相部屋はもっと大幅カットです。財務省が再三要求していた大幅削減方針に沿ったものです。すでに特養の3割が赤字という実態が調査結果で判明しているのに、今回のマイナス改定によって、特養がさらに苦境に追い込まれることは明らかです。

 入所を申し込んでも入れない待機者が全国で52万人に達するなかで、特養をこれほど痛めつけるやり方は、利用者・国民の願いからあまりにもかけ離れています。

 報酬削減の影響で東京都内の特養建設がストップするケースなど施設増設にブレーキをかける深刻な問題が、日本共産党の小池晃参院議員の国会質問(3日)で改めて浮き彫りになりました。この事態に拍車をかけるのは必至です。

 政府が引き下げの理由にする“特養は収支が良好”との根拠は崩れています。性格が異なる特養と一般企業の収支差を単純に比較して、特養が「もうかりすぎ」とする政府の主張は、自民党現職議員からも「愚かな行為」「亡国の論」と痛烈に批判されているものです。

 政府・厚労省は、今回改定で介護職員の「処遇改善」をしたとか、「在宅」を手厚くしたとか、さかんに売り込みますが、報酬全体を下げているなかで、改善効果は期待できません。そもそも「在宅」で大きな役割をもつデイサービスなどの報酬を約5〜20%も下げておいて、どこが「在宅」重視なのか。政府が打ち出した「認知症」対策の新国家戦略にさえ逆行します。

「自然増削減」と決別し

 大義も道理もない報酬削減は撤回し、国民負担増を避ける工夫をしつつ増額に踏み切るべきです。

 2000年スタートの介護保険の15年間、4度の報酬改定がありましたが、実質引き上げはわずか1度です。社会保障費の「自然増削減」路線などで徹底して抑え込まれたためです。「介護崩壊」を加速させる「自然増削減」路線と決別することが求められます。


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