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2015年2月2日(月)

日本人人質事件

翻弄され続けた日本政府

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 過激組織「イスラム国」がフリージャーナリストの後藤健二さんを殺害したと見られる動画が1日、インターネット上に公開されました。どんな口実があってもテロ行為は許されず、「イスラム国」による残虐非道な蛮行は、厳しく糾弾されなければなりません。

 これまで「イスラム国」と見られる過激組織は、確認されているだけで米国人3人、英国人2人、フランス人1人を殺害。ここに新たに日本人2人が加わりました(表1)。今回の事件は、彼らが日本を、「イスラム国」空爆に加わっている有志連合国と同列視し、残虐非道な蛮行の矛先を向け始めたことを浮き彫りにしました。

 日本政府との直接の接触がない下での「イスラム国」側からのインターネット上での一方的な発信は、湯川遥菜(はるな)さんと後藤さんの殺害を警告した1回目の動画公開(1月20日)以降、確認されているだけで5回にのぼりました。(表2)

 一方、動画に示された要求と期限は二転三転。日本政府は翻弄(ほんろう)され続けました。

 当初「イスラム国」側は、安倍首相がエジプト・カイロで「『イスラム国』とたたかう周辺各国に総額で2億ドル(約236億円)程度を支援する」と表明したのを受け、2億ドルの身代金を要求。期限は72時間でした。

図

 その後、2回目の動画から、ヨルダン政府に収監されている自爆テロ犯、サジダ・リシャウィ死刑囚と後藤さんの1対1の交換に変化。さらに3回目の動画では、期限を24時間とするとともに、「イスラム国」に拘束されているヨルダン人パイロット、モアズ・カサスベ氏の殺害を警告しました。

 4回目の動画では、リシャウィ死刑囚と後藤さんの交換期限を29日日没までとし、シリアとトルコの国境までリシャウィ氏を移送することを要求。応じなければ、後藤さんとともにカサスベ氏を殺害すると警告しました。

 ところが、5回目の動画では、リシャウィ死刑囚の解放やカサスベ氏の安否には一言も触れず、再び安倍首相批判に戻りました。

 現代イスラム研究センターの宮田律理事長は「『イスラム国』側の要求は、2億ドルの要求であったり、リシャウィ死刑囚の釈放を求めたりと、最初から日本政府と交渉するつもりがなかったのではないでしょうか。有志連合に協力する日本にあのような要求を突きつけ、有志連合の足並みの乱れを誘おうとしたのではないか」と指摘しています。(山田英明)

 

表2 邦人人質事件をめぐる主な動き

 【2014年】

 8月中旬 湯川遥菜さんがシリアで「イスラム国」に拘束された疑いがあることが表面化

 10月末 後藤健二さんがシリアで行方不明に

 【2015年1月】

 20日午後 イスラム国によるとみられる日本人殺害警告動画を日本政府が確認。72時間以内に身代金2億ドルを支払うよう要求

 21日午前 政府が拘束された日本人は湯川さん、後藤さんと判断

 24日深夜 湯川さんを殺害したとされる画像がインターネット上で公開。犯行組織は、後藤さん解放の条件として、ヨルダンで収監中のイラク人死刑囚の釈放を要求

 27日深夜 政府は後藤さんとみられる新たな画像をネット上で確認。期限は24時間と通告

 28日午後 ヨルダン情報相は、イスラム国に拘束された同国パイロットを解放するため、女死刑囚を釈放する用意があると表明

 29日午前 後藤さんとみられる新たなメッセージがネット上に投稿。イラク時間29日日没(日本時間同日午後11時半ごろ)までに死刑囚が釈放されなければ、パイロットは殺害されると警告

 29日午後 ヨルダン情報相は、パイロットの安全が確認されるまで死刑囚を引き渡さないと表明

 【2月】

 1日午前 後藤さんが殺害されたとされる映像を政府が確認


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