「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2015年1月15日(木)

異例の展開のなかで

大幅賃上げ たたかう春闘こそ

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 たたかって大幅賃上げをめざす2015年春闘がスタートしました。連合の新年交歓会に榊原定征経団連会長が初めて出席して賃上げに言及するなど、異変だらけの展開です。


財界賃上げ発言と連合の要求 

 5日に開かれた連合の新年交歓会は、榊原経団連会長、黒田東彦日本銀行総裁、政府代表など各界の来賓で熱気につつまれました。注目されたのは榊原氏のあいさつ。昨年12月の政労使合意をふまえて企業収益を賃上げにつなげていくために「最大限の努力をしてまいりたい」と表明しました。

 経団連会長が労働組合の会合に出席するのは初めてで、しかも賃上げを表明するという春闘60年の歴史を画する異変です。経団連は02年に発足以来、「賃上げ(ベースアップ)は論外」「利益の還元は一時金で」というきびしい賃金抑制を基本にしてきました。その会長が連合の新年交歓会に出席して賃上げの努力を表明したのはまさに様変わりです。

 つづいて6日に開かれた財界3団体の新年祝賀会。企業トップから「脱デフレのためにはベースアップが基本」「2〜3%は賃上げしたい」などの発言が相次ぎました。メディアは「経済界にベア容認論」などといっせいに報じました。

 こうした動きで改めて浮き彫りになっているのが連合の賃上げ要求の低さです。連合の方針は「2%のベースアップ」で、定期昇給分の2%を合わせて4%の要求です。しかし、ベア2%というのは、物価上昇分の3%に届きません。満額回答をとったとしても実質賃金を下回る自粛要求です。「これではたたかいにならない」と連合内から批判の声が上がっていました。

 このなかで連合加盟労組のなかで中小の金属機械企業の労組を中心に組織しているJAMは、「過年度物価上昇分と生活改善分を3%相当とし、9000円を要求する」という方針を打ち出しています。連合の最大単産であるUAゼンセンも3%の賃上げ要求をかかげました。

 連合がベア要求2%にした根拠は、消費税増税による物価上昇分は「国民が等しく分かちあうべきもの」だから要求から除くという奇妙な論理によるものです。これにたいしJAMなどは、それを要求しないと「『生活改善』どころか実質賃金の減少になってしまう」と主張しています。

 消費税増税分、円安による諸物価上昇分を補てんして実質賃金の低下に歯止めをかける春闘にするために、連合の要求がこのままでいいのかが問われています。

低額回答を許さず実質賃金アップを

 2015年春闘の最大の課題は、実質賃金の低下に歯止めをかける大幅賃上げの実現です。全労連は、要求額として「月額2万円以上」「時間額150円以上」をかかげました。消費税増税と物価上昇で生活が困難になっているもとで、暮らしを改善し内需拡大で経済を立て直す攻勢的な要求だとしています。

 労働総研は、消費税3%増税の影響、円安にともなう諸物価上昇の影響、税と社会保障の負担増をカバーする最低限の「生活防衛」の要求額を6%(1万8843円)と試算しています。

 政府、財界トップの賃上げ前向き発言で春闘が異例の展開になっているとはいえ、財界いいなりの低額回答で幕を下ろさせないたたかいが重要です。安倍首相は昨年の春闘で賃金が2%上がったと宣伝しましたが、実質賃金が3%低下し、生活がますます厳しくなりました。

 巨額の内部留保をためこんでいる大企業での大幅な賃上げ獲得とともに、大企業の中小企業いじめをやめさせる課題、非正規雇用労働者の賃金を底上げする最賃闘争の展開など、安倍政権・財界を追い詰める国民春闘の展開が期待されます。

内部留保の活用論各界で強まる

 大企業は巨額の内部留保をためこんでいます。賃上げの原資はたっぷりあります。

 労働総研は、企業の内部留保が13年7〜9月期から14年同期までの1年間に42・8兆円増えて509・2兆円に達したとのべ、これ以上増やすことをやめれば月11万円の賃上げが可能だと試算しています。

 刺激的な表現で内部留保のためこみを批判したのが麻生太郎副総理・財務相。5日、信託協会の新年賀詞交歓会で「まだカネをためたいなんて、ただの守銭奴にすぎない」といい、賃上げや設備投資に使うことを訴えました。

 これに呼応したのが全国知事会会長の山田啓二京都府知事。安倍首相、麻生氏らが出席した9日の全国知事会の席上、麻生発言について「表現はともかくまったく同感」とのべ、地方経済の活性化のために内部留保の活用を求めました。

 たまり過ぎた内部留保を賃上げや日本経済の発展のために活用する重要性がかつてなく高まっています。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって