「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2014年12月28日(日)

秘密保護法で大きな権限持つ内閣情報官

「何をやるのか」「やっていいのか」 法制局内で懸念

法案作成過程

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 秘密保護法では、“日本版CIA”とよばれる内閣情報調査室(内調)トップの内閣情報官が運用上の大きな権限を持っています。これについて法案作成過程で審査した内閣法制局の担当官が、「(内閣情報官が)やっていいのか」などと強い懸念を示す、肉筆の「書き込み」意見をしていたことが27日、本紙が入手した情報開示文書で分かりました。(山本眞直)


本紙が文書入手

写真

内閣法制局が9月13日に審査した内閣情報調査室の秘密保護法案。手書き部分は内閣法制局担当官が、内閣法改正による内閣情報官の関与について書き込んだ懸念=内閣情報調査室の開示文書

 法制局担当官による書き込みは、同法案の閣議決定を目前にした2013年9月13日、同法素案の付則第5条「内閣法の一部改正」部分に記述されています。

 「一部改正」は、秘密保護法で内閣官房が関与する法的根拠を明示するためのもの。内閣情報官の事務権限に「『特定秘密の保護に関するもの(内閣広報官の所掌に属するものを除く)及び』を加える」と明記しました。

 法制局担当官は、改訂点にたいし「何をやるのか」「そういうものを情報官がやっていいのか」などと、懸念を書き込みました。

 開示文書を分析した法曹関係者は「内閣情報官に強い権限を与える一方、具体的に何をするのかが明確ではないことに、権限が乱用される危険性を懸念しているのではないか」と指摘します。

 内閣情報官は、秘密保護法にともなう秘密指定の妥当性をチェックするためとして新たに設立された「内閣保全監視委員会」でも委員に就任。法制局担当官が懸念したように、同法全般に大きな権限を与えられています。

 これまでの内閣法では、内閣情報官について「内閣の重要政策に関する情報の収集調査に関する事務」(第12条)を担当するとあります。今回の改訂で内閣情報官は、「我が国の安全保障に関する外交政策及び防衛政策の基本方針の重要事項のうち、特定秘密保護法に関する企画、立案、総合調整までを行う」ことを加えました。


一人の人間が情報操る危険

 「秘密保全法に反対する愛知の会」共同代表・中谷雄二弁護士の話 内閣に集まる情報の収集分析の責任者の内閣情報官に、さらに秘密保護法上の権限を与えることによって生じるであろう、情報を一人の人間が操る危険性に対する危惧を法制局の担当官は書き込んだのではないか。

 内閣情報官が特定秘密の保護に関してまで事務を行う権限を持つとすれば、その危うさは計り知れない。内閣あるいは国家安全保障会議に伝えられる、海外での武力行使をめぐる集団的自衛権行使などの情報が内閣情報官によって恣意(しい)的にゆがめられ、隠される危険性が生まれる。これほどの悪法は廃止しかない。


 内閣情報官 内閣官房に属する内閣の情報機関、「内閣情報調査室」のトップ。内閣総理大臣に内閣に関わる重要政策や情報を直接、助言や報告ができ、アメリカのCIA(アメリカ中央情報局)など世界の諜報(ちょうほう)・情報機関とも密接に連携しています。歴代の情報官はいずれも警察庁出身で警備・公安畑の幹部経験者が担っています。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって