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2014年12月27日(土)

津波検討「余計なことをするな」

保安院 上司から圧力

福島第1 政府事故調の調書公開

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 東京電力福島第1原発事故で政府の事故調査・検証委員会が聴取した、旧経済産業省原子力安全・保安院や東電、福島県の佐藤雄平前知事ら関係者127人分の調書で、規制当局が原発推進のために津波対策を後回しにしてきた実態が改めて浮き彫りになりました。政府が25日、公開しました。

 津波の専門家が2009年、経産省の審議会で東北地方に大津波をもたらした868年の貞観(じょうがん)津波に触れ、同規模以上の津波が再来する可能性を指摘していました。保安院の小林勝耐震安全審査室長(現・原子力規制庁安全規制管理官)は聴取に、10年に貞観津波の検討を原子力安全委員会に諮ることを上司に進言したと証言。しかし、安全審査課長から「(その件は)保安院と原子力安全委員会の上層部が手を握っているのだから、余計なことはするな」と言われたことを明かしています。広報課長からは「余計なことをするとクビになるよ」と言われたとも証言しています。

 当時、福島第1原発3号機で、プルトニウムを含む混合酸化物(MOX)燃料を使う「プルサーマル」計画が問題になっており、安全審査課長は資源エネルギー庁のプルサーマル担当の参事だったこともある、プルサーマル推進派です。小林氏は「3号機のプルサーマル稼働を急ぐため、(原子力安全委員会に)諮らなかった」と述べています。

 佐藤前知事は事故直後、原発から半径2キロ圏内の住民に県独自の避難指示を出しました。「官邸の関係者に聞いても、(事故の)状況が分からなかった」と政府の情報伝達の遅れを指摘。「さまざまな情報が地域から入ってきていたので、ぱっと頭に浮かんで避難指示をした。その後、後追い的に国から指示が来た」と述べています。

 原子力規制庁の安井正也緊急事態対策監は調書で、事故直後に保安院付となり、11年3月13〜14日に官邸で状況説明を担当したと証言。班目(まだらめ)春樹原子力安全委員長は、3号機に冷却用の海水が注入されたとの報告に、「バンザイ、助かった」と興奮し、「妙にハイテンションになっていた印象がある」と言います。しかし、その後、3号機は水素爆発を起こします。

 原発の安全に関する最高責任者が、事故が起こった時に原発がどのようになるか、実際にはわかっていなかったことを物語っています。


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