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2014年12月27日(土)

主張

米軍機の低空飛行

この無法を放置していいのか

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 谷間の向こうから低く不気味なごう音がだんだんと近づいてきたと思ったら、すさまじい爆音とともに戦闘機がいきなり現れ、目の前の稜線(りょうせん)すれすれに猛スピードで旋回しながら飛び去っていく。そばにいた3歳の男の子が大声で泣き叫ぶ―。高知県香美(かみ)市の女性が今月、米軍機の低空飛行訓練を撮影し、フェイスブックに公開した動画が反響を呼んでいます。文字通りの“わが物顔”の飛行実態を目の当たりにすると、「ここは一体、どこの国なのか」と怒りが込み上げてきます。こうした事態を放置することは、主権国家として絶対に許されません。

「日本防衛」とは無縁

 「窓ガラスが割れた」「土蔵が崩壊」「保育園で1歳児がパニックに」「飛行機が頭の上に落ちてきたような恐怖。思わず床に伏せた」「ドクターヘリの妨げになる」…。各地で報告される米軍機の低空飛行訓練による被害は深刻です。

 米空軍三沢基地(青森県)、米海軍厚木基地(神奈川県)、米海兵隊岩国基地(山口県)の戦闘機などが、北海道から沖縄まで米軍が勝手に設定した低空飛行ルートや訓練エリア(区域)で実施しているため、被害の報告や目撃情報、自治体への苦情などは全国に及びます。高知県香美市を含む四国地方には、「オレンジルート」と呼ばれる低空飛行ルートがあります。

 過去には、低空飛行訓練中の米軍機が高知県早明浦(さめうら)ダム湖や岩手県釜石市山中で墜落事故も起こしており、大惨事に直結しかねない危険極まりない訓練です。

 米軍機による低空飛行訓練の危険性は、訓練の目的そのものから来ています。敵地に侵入し、敵の戦闘機や対空砲による攻撃を避けながら、レーダー施設やミサイル基地などの軍事目標を破壊するため、地形すれすれに沿って飛行する技量を磨くことが目的だからです。日本防衛のためではなく他国への侵攻を目的にした訓練で国民の暮らしと安全が脅かされることなどあってはなりません。

 日本政府は、米政府との合意文書で、低空飛行訓練は「戦闘即応体制を維持するために必要とされる技能の一つ」であり、「日本で活動する米軍の不可欠な訓練」だとして積極的に肯定してきました。一方で、在日米軍は日本の航空法が規定している「最低高度基準」を用いるなど、「安全性を最大限確保する」としてきました。

 航空法は、「最低安全高度」を人口密集地で300メートル、それ以外で150メートルと定めています。しかし、これは、遊覧飛行などをするヘリコプターが故障した際、不時着などの措置がとれる高度として設けたものです。戦闘機の低空飛行訓練を想定したものではなく、政府の主張はごまかしにすぎません。

最低高度は適用除外

 しかも、米軍機は、在日米軍の法的地位を定めた日米地位協定に基づく航空法特例法によって「最低安全高度」の適用が除外され、実際にも同高度を下回る飛行がしばしば報告されています。

 自衛隊機は、低空飛行訓練を航空基地や演習場の上空以外では行っていません。米軍だけが全国どこでも自由勝手にできるというのは異常の極みです。日米両政府は米海兵隊の新型機オスプレイの低空飛行訓練も全国に拡大しようとしています。無法な低空飛行訓練はきっぱり中止すべきです。


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