2014年12月5日(金)
白人警官また不起訴 NY大陪審
黒人逮捕時に首絞め死なす
1000人抗議
【ワシントン=島田峰隆】米ニューヨーク市スタテン島で今年7月、丸腰の黒人男性が逮捕されるときに白人警官に首を絞められる形で組み倒され、間もなく死亡した事件をめぐり、地元の大陪審は3日、警官を起訴しないことを決めました。米メディアが報じました。
死亡した黒人男性はエリック・ガーナーさん(43)。たばこを違法に売った疑いをかけられ、警官に囲まれて後ろから腕で首を絞められる形で歩道に倒されました。その後、病院で死亡しました。ガーナーさんの知人が携帯電話のカメラでその様子を撮影。地元紙電子版などに掲載され、反響を呼びました。
中西部ミズーリ州では11月下旬に大陪審が、丸腰の黒人青年を射殺した白人警官を不起訴にし、全米170都市以上に抗議行動が広がったばかり。ニューヨーク市の事件はミズーリ州事件との類似性が指摘されており、根底にある人種差別への抗議がまた広がりそうです。
ニューヨーク市中心部には3日夕方から市民が自発的に集まり、千人ほどが不起訴決定に抗議する集会・デモを開催。「われわれは裁判を要求する」などと叫びました。
黒人男性の弁護士を務めるジョナサン・ムーア氏は米メディアに「大陪審の結論に驚いた。たいへん腹立たしい」と表明。連邦政府の検察による調査継続を求めました。
ニューヨーク市のデブラシオ市長は会見で「大変痛々しい日だ」と遺族に連帯を示しました。「正義という米国の価値を信じる人は行動が必要だと感じるべきだ」と強調しました。
ホルダー司法長官は3日、抗議の声の高まりを踏まえ、警官に公民権侵害に当たる行為がなかったか、連邦政府として捜査に乗り出すと表明しました。
ロイター通信によると、ニューヨーク市の医療当局は、警官がガーナーさんの首と胸を圧迫して殺害したとしています。同市警察は、首を絞めて拘束する方法は危険だとして禁止しています。