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2014年12月1日(月)

経済・安保 どの問題も「自共対決」鮮明

ネット党首討論 志位委員長が発言

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 総選挙公示(2日)目前の11月29日、インターネット事業者7社共同企画で行われた「ネット党首討論」。安倍政権の経済・安保政策を批判し、その転換を求めた日本共産党の志位和夫委員長に安倍晋三首相(自民党総裁)が何度も議論を挑むなど「自共対決」の姿が鮮明となりました。


安倍政権の2年

あらゆる分野で民意に背いた――暴走ストップ、「五つの転換」を訴えたい

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(写真)各党党首と討論する志位和夫委員長=11月29日、東京都港区

 冒頭、「2年間の安倍政治」をテーマに各党首が発言。安倍首相は政権の経済政策「アベノミクス」や集団的自衛権行使の法整備をあげて「この道しかない」と主張しました。志位氏は次のように述べました。

 志位 安倍政権の2年間というのは、あらゆる分野で国民の民意に背く暴走の2年間だったと思います。

 私たちは、安倍政権の暴走ストップ、日本の政治の五つの転換を訴えて選挙戦をたたかいます。

 第一は、消費税10%は中止し、富裕層や大企業への応分の負担を求めるなど「消費税に頼らない別の道」に切り替えることです。

 第二は、格差拡大の「アベノミクス」ストップ、国民の暮らし第一で経済を立て直すことです。

 第三は、「海外で戦争する国」づくりをやめさせ、憲法9条の精神にたった平和の外交戦略で地域の平和と安定を築くことです。

 第四は、原発再稼働ストップ、「原発ゼロ」の日本への転換です。

 そして第五は、沖縄の米軍新基地建設は中止し、基地のない平和で豊かな沖縄をつくることです。

 日本共産党がのびれば日本の政治は変わります。どうかよろしくお願いいたします。

「アベノミクス」

景気悪化と格差拡大――この道に先はない

 経済政策の論戦で安倍首相は、有効求人倍率や賃金などあれこれの数字をあげて「さらにアベノミクスを進め、景気の温かい風を届ける」と発言。志位氏は次のように指摘しました。

 志位 アベノミクスは国民の暮らしに二つの害悪をもたらしたと思っております。

 第一は、景気悪化の害悪です。GDP(国内総生産)2期連続マイナスというような異常事態が起こったわけですけれども、これは国民の反対を押し切って消費税を8%に増税したことによる「増税不況」と言わなければなりません。この増税を推進した自民党、公明党、民主党の責任は重いと言わなければなりません。

 第二は、格差の拡大です。一部の大資産家や大企業には大きなもうけが転がり込んだけれども、庶民の実態はどうか。円安が生む物価高による生活苦が襲っています。いま総理は「賃金が上がった」とおっしゃいましたけれども、実質賃金は15カ月連続のマイナスです。「雇用がよくなった」といいますけれども、非正規の社員は増えたんですけれども、正社員は22万人、2年間で減っています。「この道しかない」とおっしゃるけれども、この道に先はない。転換が必要です。

 一方、他の野党はアベノミクスに「実現できてないから期待外れ」(民主・海江田万里代表)、「第三の矢の規制改革が肝心要」(維新・江田憲司共同代表)などと安倍政権と同じ土俵での主張に終始しました。

経済再生

大企業の内部留保を活用、国民の所得を増やす改革を

 安倍首相はなおも「政策(アベノミクス)を前に進めることで非正規・正規の人にちゃんと仕事をつくり始めている」と大企業応援の「成長戦略」に固執しました。志位氏は、その誤りと抜本的対案を示しました。

 志位 安倍さんがよくいう「大企業がもうければ、いずれは国民の暮らしにまわる」という考え方自体が誤っているということを事実が証明したと思うんですね。

 私は、ここを切り替えて、285兆円まで膨らんだ大企業の内部留保の一部を活用し国民の所得を増やすという政策に転換する必要があると思います。

 そのために政治がなすべきは、非正規から正社員の流れをつくる。雇用のルールの強化をはかる。長時間過密労働を是正する。中小企業への手当てをしっかりやりながら最低賃金を大幅に引き上げる。ブラック企業はなくしていく。

 それから、中小企業に対する下請け単価を適正なものに引き上げて、中小企業で働く人たちも所得を増やしていく。

 国民の所得を増やす改革が必要だと思います。

 消費税10%は、「先送り」実施ではなく、中止を強く求めたいと思います。

労働者派遣法改悪

“生涯ハケン”“正社員ゼロ”になる――正社員が当たり前の社会こそ

 衆院解散前の臨時国会で再び廃案になった労働者派遣法改悪案について安倍首相は「多様な働き方に対応した労働法制」などと正当化。「多様な働き方はまったく認めないわけではないが、同一労働同一賃金が世界的な流れ」(民主・海江田氏)などの議論が交わされるなか、志位氏は次のように述べました。

 志位 政府が出した労働者派遣法の大改悪というのは、とんでもない内容だと思うんですよ。

 これまでの派遣法というのは、ともかく派遣労働は「臨時的・一時的」なものに限る、「常用雇用の代替をしてはならない」という大原則があったんですね。これを取り払ってしまって、「原則1年、最長でも3年」という期間制限も取り払ってしまって、無期限に派遣が使い続けられるようになるわけですから、これは「生涯ハケン」「正社員ゼロ」という批判が出るのは当たり前なんです。こういう賃下げ政策をやっておきながら、賃上げを進めるというのは、言っていることとやっていることが違う。

 派遣法は抜本改正して、派遣労働は本当に一時的・臨時的なものに限る。そして均等待遇のルールをきちんとする。そのことによって正社員が当たり前の社会にしていく。これが政治の責任だと思います。

 安倍首相は派遣法改悪とホワイトカラー・エグゼンプションの問題を混同し、「志位さんから話があった『残業代ゼロ』はまったくありえない」と述べ、失笑を買いました。「一生派遣だというが、そんなことはない」というものの、具体的な根拠は示せませんでした。

集団的自衛権

国民の命を守るものではない――「海外で戦争する国」づくりが正体

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(写真)各党党首と討論する志位和夫委員長(左から2人目)=11月29日、東京都港区

 安倍首相は、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」(7月1日)について「日本人の命と幸せな暮らしを守るための閣議決定」と述べ、来年の通常国会で関連法案を提出すると語りました。志位氏の追及が続きました。

 志位 集団的自衛権行使の現実の危険がどこにあるのか。国会論戦を通じて、2001年のアフガニスタン戦争、2003年のイラク戦争のような戦争をアメリカが起こしたさいに、自衛隊が従来の「戦闘地域」まで行って軍事活動をすることになる。このことを総理はお認めになりました。自衛隊が攻撃されたら、「武器の使用をする」ことになる。このこともお認めになった。

 ですから集団的自衛権行使とは、日本の国を守ることでも、日本の国民の命を守ることでもない。アフガン・イラク戦争のような戦争で、米軍と自衛隊が肩を並べて戦争をする―「海外で戦争する国」づくりだということは、国会論戦ではっきりしたと思います。

 私たちは、憲法9条を破壊するような集団的自衛権行使容認の「閣議決定」の撤回を求めます。

 国民の目、耳、口をふさいで戦争に動員する秘密保護法は、きっぱり廃止にということを求めていきたいと思います。

「閣議決定」国会論戦

首相は戦闘参加を認めた――歯止めをはずして海外での戦争に道を開くもの

 安倍首相は「志位さんは、まるでアフガン戦争やイラク戦争に自衛隊が参加するかのごときの発言をされたが、そんなことはない」「武力行使を目的とした戦闘行為に参加することはない」とまくしたてました。

 志位 いま総理から反論があったんですが、私は安倍さんと国会の予算委員会で論戦しました。

 アフガニスタン戦争、イラク戦争のときに自衛隊を派兵しました。しかし、そのときは「武力行使をしてはならない」「戦闘地域に行ってはならない」という二つの歯止めがあったんですね。「これを残すんですか、残さないんですか」と安倍さんに聞きました。「残す」と言わなかった。結局、「戦闘地域」まで行くことになるんではないか。これは明らかになりました。

 そうしますと、攻撃されることになる。「攻撃されたらどうするんですか」と、私たちは聞きました。任務遂行のための、あるいは自己防衛のための「武器の使用をする」と(首相は)おっしゃいましたよ。「武器の使用をする」ということになったら戦闘が起こるんです。

 アフガン戦争やイラク戦争のような戦闘に参加することはないというけれど、実際にそうやって論を詰めていったら、戦闘に参加することになるということは明らかになったというのが、国会の論戦の到達点ですよ。これは、ごまかしちゃいけない。

 安倍首相は「(自衛隊は)アフガン戦争は給油活動をしていた。イラク戦争は戦闘行為が終わってから平和構築に参加した。後方支援は集団的自衛権の行使の一部として行うものではない」などと発言。公明党の山口那津男代表も「(自衛隊が行く)現場がもし戦闘行為の現場になりそうだったら、(活動を)休止して中断せよと決めた」と述べました。

 志位 総理は、武力行使を目的にした海外派兵はしないとおっしゃいます。しかし、米軍の活動に対する兵たん支援―後方支援といわれる活動―はこれまでは、「戦闘地域」でやってはならないと歯止めがあったわけです。この歯止めがなくなるわけですよ。

 「戦闘現場」ではやらないということをおっしゃいますけども、自衛隊が行った場所が「戦闘現場」になりうるということは(首相は)答弁で認めました。

 そうしますと、相手から攻撃されることになる。そこで戦闘が起こるということを私は問題にしている。これは、国会で詰めた議論をやったわけです。

 そして自衛隊をそういう海外での戦闘に参加させることになる。日本を「殺し、殺される」ような危険な国にしてはならない。「閣議決定」の撤回を求めている一番の理由がここにあるわけです。

 安倍首相は「もし戦闘現場になれば、直ちに撤退をするということは明白。歯止めは決まっている」と繰り返すだけ。志位氏は反論しました。

 志位 総理は、「歯止め」があるんだということをおっしゃいました。

 しかし、これまでの政府の見解というのは、日本が武力行使できるのは、日本に対する急迫不正の主権侵害があった場合、(それが)発生した場合だけだと。それ以外の武力行使、つまり一般に海外での武力行使はできませんというのが政府の見解だった。これを変えちゃっているわけですよ。この歯止めを外したわけです。

 ですから、先ほど言ったように、アフガン戦争やイラク戦争の場合も、これまでは「武力行使をしてはならない」「戦闘地域にいってはならない」という「歯止め」があったわけですけれども、この二つの「歯止め」が外れてしまっている。「歯止め」をはずして海外での戦争に道を開くのが、いま行われていることの本質だと思います。

最終的にめざす社会は

人間の自由が花開く社会をめざす――国民抑圧・他国侵略の体制は社会主義と無縁

 ネットユーザーから寄せられた質問に各党首が回答しました。志位氏には「日本共産党が最終的に目指すのはどこなんでしょうか。資本主義社会の打倒ですか。社会主義、共産主義社会の実現ですか」(長野の20代の男性)という質問があり、次のように答えました。

 志位 私たちは共産党ですから、人類の社会は資本主義で終わりではない、社会主義・共産主義に進むという展望を持っています。

 ただ、二つの点を強調しておきたいと思います。

 一つは、日本が直面している改革の課題というのは、まず資本主義の枠内で異常な「アメリカいいなり」、あるいは「財界中心」の政治を改革して「国民が主人公」の民主主義の日本をつくるということにあります。これをやりとげたうえで、国民多数の合意で未来の社会に進んでいくというのが一つです。

 それからもう一つは、崩壊した旧ソ連のような国民を抑圧し、他の国を侵略するような体制というのは、社会主義でもなんでもない。こういう暴圧の再現は絶対に許さないというのが私たちの立場です。

 資本主義の時代につくられた自由や民主主義のあらゆる制度は全部豊かに継承的に発展し、人間の自由、人間の解放、これが本当に花開く、そういう社会を私たちはめざしています。

最後にひとこと

日本共産党をのばせば日本の政治は必ず変わる

 最後に、ネットユーザーへの「一言」として志位氏は次のように述べました。

 志位 日本共産党をのばしていただければ、日本の政治は必ず変わります。

 昨年の参議院選挙では共産党は躍進させていただきましたが、そこで得た議案提案権を活用してブラック企業規制法案を提出いたしました。この法案提出は厚生労働省を動かし、集中的な実態調査、離職率の公表など、ブラック企業の根絶に向けて一歩踏み出しています。秘密保護法の廃止法案も提出しました。

 共産党をぜひ、今度の総選挙で躍進させてください。よろしくお願いします。


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