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2014年11月20日(木)

首相会見のごまかし 検証

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 安倍首相は衆院解散・総選挙を表明した18日の記者会見で、消費税増税を行えば「個人消費を押し下げ、デフレ脱却も危うくなる」といいながら、10%増税の断行を明言しました。増税押し付けのごまかし、居直りの言い分を検証してみると―。


首相 「アベノミクス成果あげ好循環が生まれている」

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実質賃金15カ月減少

 首相は、「3%分の消費税率引き上げが、個人消費を押し下げる大きな重しとなっている」と認めながら、「アベノミクスは確実に成果をあげている」「経済の好循環が生まれようとしている」と述べました。

 これは、統計数字を恣意(しい)的に使ったり、政府統計すら無視したごまかしです。

 例えば、「この春、平均2%以上給料がアップした。過去15年で最高です」―厚労省がまとめた今春闘の妥結結果ですが、集計したのは314社。全国413万社のうち0・008%にすぎません。

 しかも、314社とは、資本金10億円以上、従業員1000人以上、労働組合があって妥結額を把握できた企業です。実際は、「アベノミクス」による物価上昇によって実質賃金が15カ月連続で減少しています。(厚労省の毎月勤労統計)

 首相は「政権発足以来、雇用は100万人以上増えた」とも自慢しました。増えたのは非正規雇用です。

 2013年1月から14年9月にかけて非正規雇用が147万人増えたのに対し、正規雇用は9万人減少しています(労働力調査)。

 消費税率10%への引き上げを先送りしたのは、こうした「アベノミクス」の破綻を無視できなくなったためであり、経済失政を自ら認めたものです。

首相 「消費税増税は社会保障、財政再建のため」

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切り捨てのオンパレード

 「消費税の引き上げは、社会保障制度を次世代に引き渡し、充実させていくために必要です」「消費税を引き上げ、財政再建を果たしていく」。首相はこういって消費税増税を正当化しました。

 しかし、実際にやっているのは、70〜74歳の医療費自己負担の倍加、基礎年金は年間で1万9000円もの削減、要支援者向け介護サービスの取り上げなど切り捨てのオンパレードです。

 財政再建どころか、大企業には2・5兆円から5兆円もの大減税をばらまこうとしています。「国家的詐欺に等しい」(日本共産党の志位和夫委員長)といわなければなりません。

 税率8%への引き上げの増収5兆円のうち、社会保障「充実」に使われたのはわずか5千億円。大半は、年金など既存の社会保障財源を消費税増税分に置き換えるために使われ、浮いた財源をムダな法人税減税や公共事業、軍事費につぎ込んでいるのが実態です。

首相 「この道しかない」

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消費税に頼らない道がある

 首相は「アベノミクスに批判があるが、どうすればいいのか具体的なアイデアは一度も聞いたことがない」と表明。大企業の収益が上がればやがて労働者にも回ってくるという破綻した政策に固執し、「この道しかない」と言い切りました。国民の批判に耳を貸さない首相の姿勢を示しています。

 これに対して日本共産党は“消費税に頼らない別の道がある”と主張しています。

 “別の道”とは、(1)富裕層と大企業に応分の負担を求める(2)大企業の内部留保を活用し、国民の所得を増やす経済対策で税収を増やす―という二つの改革を行い、消費税に頼らずに社会保障を充実し、財政再建をはかる道です。

 285兆円にまで膨れ上がった大企業の内部留保の一部を活用するだけで大幅賃上げと安定した雇用を増やすことは可能です。

 「企業の収益がいくら増えても内部留保となって積み上がるだけだ」という日本共産党の指摘を安倍首相も否定できず、日本経団連など経済3団体に「報酬引き上げ」を要請(2013年2月)せざるをえませんでした。道理ある現実的な提案であることを示しています。


「自然増」削減ねらう

 首相は会見で「2020年度の財政健全化目標を堅持し、来年夏までに具体的な計画をつくる」と述べ、社会保障などの削減計画を打ち出す考えを示しました。

 安倍政権は、「自然増も含め聖域なく見直す」(骨太方針)として社会保障の切り捨て路線を打ち出しています。

 高齢化に伴う自然増は来年度予算では8000億円以上。厚労省はすでに、後期高齢者医療の保険料引き上げ(特例軽減の廃止)、入院給食費の値上げなどを打ち出しています。

 かつて小泉政権は、社会保障の毎年2200億円削減を強行し、「地域医療の崩壊」を招いたと批判を浴びました。それに反省もなく、社会保障の切り捨て路線を再び起動させようというのです。


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