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2014年10月15日(水)

ヘルスケアリート 病院を投資対象に

「非営利」脅かす

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 医療機関の建物や土地を投資対象にしてもうけをあげる「ヘルスケアリート」(医療介護関連不動産投資信託)の本格導入が狙われています。国土交通省の検討会でそのためのガイドライン(指針)が検討されています。医療サービスはどうなるのでしょうか。

 「リート」とは、投資家や銀行から集めた資金で不動産を購入し、賃貸収入や売却益などを配分する仕組みです。元本保証はなく、激しい値動きを繰り返し、リーマン・ショック時には破綻したケースもあります。

 ところが安倍内閣の「成長戦略」で、「公的保険に依存しない健康寿命延伸産業を育成する」として医療・介護分野への営利企業の参入が打ち出され、指針策定となりました。有料老人ホームなど福祉施設については6月に指針を出しています。

 病院の改築・設備投資の資金調達に使うだけでなく、自治体病院の施設を丸ごと「リート」にすることもねらわれています。

 指針策定で問われるのが、医療法で定める病院の「非営利」原則との関係です。

 検討会では「投資家の意向を受けた経営支配が避けられない」(日本医師会)と指摘されており、国交省も、投資家が賃料アップを要求したり、売却による所有者の変更で安定した運営が脅かされる問題をあげています。

 厚生労働省の委託調査研究報告書(3月、明治安田生活福祉研究所)は「病院にとってメリットはほとんどない。むしろデメリットが目立ち、医療制度の根幹に抵触しかねない。病院に強いてリートを薦める理由は乏しい」と結論付けています。非営利原則に照らしてどうか、ガイドラインをつくれば許される問題なのか、徹底議論が求められます。

 国交省の言い分は、資金調達が容易になり耐震化や施設改修が進むというものです。

 しかし、医療機関の資金調達はすでに、国からの補助金、銀行や公的機関(福祉医療機構)からの借り入れに加え、「医療機関債」などさまざまな調達方法が確立されています。そうしたなかで、なぜリートなのか、まともな説明はありません。

 むしろ専門家からは「一般の企業と違い保険診療を主とする限り、医療機関が診療報酬を増やすことには一定の限界がある」「他の不動産に比して医療機関の不動産が市場性の点について劣る」(2007年度厚労省委託調査・中井生活経済研究所)と、非営利の医療機関は営利追求のリートになじまないという見解が示されています。

 国交省はこうした点について何も説明していません。「導入先にありき」でなく、徹底した検証が求められています。


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