「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2014年10月13日(月)

欧米版TPP交渉停止求める 22カ国で一斉行動

“欧州の米国化に反対”

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 【パリ=島崎桂】欧州各国で11日、米国と欧州連合(EU)が秘密交渉を続ける環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)の交渉停止を求める一斉行動が実施されました。主催団体の一つ、国際市民団体「アタック」によると、22カ国、約1100カ所で抗議デモや集会が開かれました。


写真

(写真)TAFTAに抗議するデモ参加者ら。プラカード(上)には「TAFTAは通させない」の文字=11日、パリ(島崎桂撮影)

 TTIPは、環大西洋自由貿易地域(TAFTA)とも呼ばれる包括的な多国間協定。環太平洋連携協定(TPP)の欧米版ともいえ、各国の主権を侵害して、多国籍企業の優遇や労働や環境をめぐる規制緩和などが盛り込まれていることから、各国で反発が高まっています。

 このうちパリのデモ行進には警察発表で1300人、主催者発表で4000人の市民が参加。「欧州の米国化に反対」「無法者の多国籍企業はもうたくさん」などのプラカードを手に「TAFTA推進勢力に抵抗しよう」と唱和しました。隊列には仏共産党や左翼党、環境政党の代表らも加わりました。

 TTIPにはTPPと同様、投資家対国家紛争(ISD)条項が含まれています。多国籍企業が、不利益となる投資相手国の制度や法令の廃止や損害賠償を求め、国を提訴できる条項です。

 パリでの行動では、ISD条項の乱用による社会制度崩壊への懸念が噴出。参加者の1人、フレデリック・バセさん(60)は「多国籍企業の都合に合わせて規制を撤廃すれば、医療、教育、文化、農業など、あらゆる分野に破局的な影響をもたらす」と語りました。

 また、パリの大学生ヤニス・ゼクビブさん(22)は「企業の競争力を強化するために労働規制を見直せば、労働環境の悪化や失業者の増大、失業期間の長期化は避けられない」と語気を強めました。

 環境団体は、TTIP締結に伴う遺伝子組み換え(GM)作物の自由化を懸念。参加者の中には、乳児を乗せたベビーカーに「私の食事にGM作物を入れないで」と書かれたプラカードを貼り付けた若い夫婦の姿もありました。

 ロンドンでは数百人の市民が市内を行進後、英議会前に架かるウェストミンスター橋に「TTIPから手を引け」と書かれた横断幕を取り付けました。

 各国の行動では、日本、米国、欧州連合(EU)を含む23カ国・地域が秘密交渉を続ける新サービス貿易協定(TiSA)への抗議も。TiSAは金融、通信、輸送、建設、教育、観光などモノ以外の全ての貿易を自由化する協定です。

 スイスのジュネーブでは、TiSAに反対する行動に約500人が集まり、「多国籍企業の独裁にノー」と書かれた横断幕を先頭に市内を行進しました。


 環大西洋貿易投資連携協定(TTIP) 国内総生産(GDP)で世界のほぼ半分を占める米国と欧州連合(加盟28カ国)の間で貿易と投資の全分野で自由化を図る協定。中国など新興国に対し、通商ルールの世界標準を米欧主導で確定することが狙いとされます。欧州諸国からは、協定が国民の生活や文化に打撃を与えるとの声や、企業の利益のために労働条件や公的サービスを切り下げるとの懸念が高まっています。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって