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2014年10月12日(日)

ノーベル平和賞2人の受賞者

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 【ニューデリー=安川崇】10日、2014年のノーベル平和賞受賞が決まった、パキスタンで女性教育の重要性を訴えて武装勢力タリバンに銃撃されたマララ・ユスフザイさん(17)と、インドで児童労働の根絶に取り組むカイラシュ・サティアルティさん(60)の横顔を紹介します。


「これは世界の子どものための賞」

マララ・ユスフザイさん

 「自分を撃ったタリバンの男を憎んではいない。自分が銃を持っていたとしても、私は彼を撃たない」「過激主義者は教育の力を、そして女性を恐れている。女性の声の力を、彼らは恐れている」

 昨年7月、16歳の誕生日に国連で演説したマララ・ユスフザイさんは、出席した各国の500人の子ども代表を前にこう語りました。海外メディアからは「女子教育擁護の象徴的存在」(ロイター通信)と評されます。

 マララさんはパキスタン北部スワト渓谷地域に住んでいた2009年、英国放送協会(BBC)のウルドゥー語サイトにブログを掲載しました。

 当時、同地域を支配下に置いていた反政府武装勢力タリバンが女児への教育を弾圧している状況などを率直に伝え、「スワト渓谷の少女たちの声」として注目されました。

 14歳になった12年10月、バスで通学中、戦闘員に友人とともに銃撃され、頭部に重傷を負います。襲撃の理由についてタリバンは声明で「彼女は反タリバン宣伝をした」と述べました。

 マララさんは治療のため英国に渡航。襲撃の懸念などから帰国せず、学校に通いながら女子教育の普及と擁護のための発言を続けています。13年には自伝『私はマララ』を米英で出版。11年にパキスタンの国家平和賞の第1回受賞者に選ばれたほか、多数の国際的な賞を受けています。

 パキスタンのシャリフ首相は今回の受賞を受けて「彼女の功績は比類がない。国の誇りだ」と称賛。マララさんは「これは世界の子どものための賞。すべての子どもは人身売買や児童労働から逃れ、良質な教育を受けられるべきだ」と語っています。

「児童労働1億6000万人受賞を運動の転換点に」

カイラシュ・サティアルティさん

写真

(写真)カイラシュ・サティアルティさん(安川崇撮影)

 「世界には1憶6000万人の児童労働者がおり、うち6500万人がインドにいる。平和賞受賞が(児童労働廃止)運動の転換点になることを望む」

 受賞の報を受けたサティアルティさんはニューデリーの非政府組織「バチュパン・バチャオ・アンドラン」(少年期を守れ運動=BBA)のオフィスでこう語りました。

 インドでは学齢期の子どもが通学せず、工場や商店で働く姿が日常的にみられます。BBAはこの問題に取り組む同国NGOの代表的存在。年に数回、警察などと協力して行う「救出作戦」で、工場などから児童をこれまで約8万人解放し、再教育や社会復帰支援に取り組んできました。

 議長を務める別の運動団体が今年6月にまとめた報告書によると、BBAなどに救出された子どもの3割が14歳以下。多くが数年以上、事実上無給で働いています。

 「雇用者は無償の労働力を手にし、あっせん業者が多額の手数料を取って子どもを供給する。実入りのいい地下経済。子どもは学校に通って友達と遊ぶ『子どもらしい時代』を奪われる」―6月の報告書発表会見で、サティアルティさんは力を込めました。

 電気技師の職を捨ててBBAを設立したのが1980年。原点は5歳の時の経験だとメディアに語っています。「私が通う学校の前で、同年代の子が靴修理屋で働いていた。学校に行く子と働かざるを得ない子がいる。これを受け入れられなかった」

 BBAは「搾取から教育へ」のスローガンを掲げ、児童労働規制と教育振興の立法運動も展開。すべての子どもについて無償で義務教育を受ける権利を明記した2009年の「教育の権利法」制定にも尽力しました。


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