2014年10月7日(火)
第45期将棋新人王戦(しんぶん赤旗主催) あすから決勝三番勝負
経験・勝率 がっぷり四つ フレッシュな2人に期待
佐々木勇気五段(20)と阿部光瑠(こうる)四段(19)の対戦となった、第45期将棋新人王戦(しんぶん赤旗主催)の決勝三番勝負は8日、東京・将棋会館で開幕します。ともに1994年生まれで、プロ入りも佐々木五段がわずか半年早いだけ。今期成績も勝率7割台と肩を並べるなどがっぷり四つ。フレッシュな2人による対戦に期待が寄せられています。
対戦成績
佐々木勇気五段と阿部光瑠四段の直接対決は、これまでに2012年の第43期新人王戦での1局だけ。このときは佐々木五段が矢倉戦を制しています。
佐々木五段は「2年以上前の対局だから今回はまったく違う将棋になる」といい、阿部四段は「プロになって初めての新人王戦の初戦でこてんぱんにやられた」と振り返り、雪辱を誓っていました。
プロ棋士をめざした三段リーグ戦では阿部四段の2勝となっています。
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盛り上げたい
これまでベスト4が最高だった佐々木五段は中村真梨花女流二段、藤森哲也四段、大橋貴洸三段に勝ち、準決勝で第41期新人王の阿部健治郎五段を破って初の決勝進出を果たしました。
三番勝負は昨年の第3期加古川青流戦(四段と三段中心の若手棋戦)で経験済み。このときは2勝1敗で千田翔太四段をくだして棋戦初優勝をおさめています。
矢倉戦を中心にした居飛車党ですが、横歩取りや振り飛車も指すなど芸域を広げています。
今期はこれまで12勝5敗(7割6厘)で勝率は全棋士中10位。
佐々木五段は「やりたい戦法はいくつかある」と決勝に向けて意欲満々。「決勝の大舞台に出られることはうれしいこと。自分の将棋を検討してもらう機会はめったにないことなので、検討陣が盛り上がるような将棋を指したい」「プロになって大一番に弱いところがあった。今回のチャンスはなんとしても生かしたい」と話しています。
ささき・ゆうき 1994年8月5日生まれ。埼玉県三郷市出身。石田和雄九段門下。2010年10月四段昇段プロデビュー。14年3月五段昇段。
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平常心で指す
阿部四段は、坂井信哉三段、石田直裕四段、斎藤慎太郎五段、菅井竜也五段に勝って決勝に進出しました。こちらも決勝進出は初。
居飛車、振り飛車ともに指しこなす器用なタイプ。本人も「早指しが得意」というだけあって、プロ入り1年目の早指し戦、朝日杯将棋オープン戦では、三浦弘行九段、丸山忠久九段、森内俊之竜王らタイトル保持者・経験者を次つぎ破って注目されました。
実力はプロ棋士を超えたともいわれるコンピューター将棋ソフトとの対戦、第2回電王戦(2013年)で習甦(しゅうそ)を破って、話題になりました。
今期はこれまで14勝6敗(7割)で勝率は全棋士中12位。直近10局は9勝1敗、4連勝中と調子をあげています。
阿部四段は「新人王戦は去年までは1勝だけ。決勝に進出したからには優勝をめざします」ときっぱり。「ただ『番勝負』は初めての経験なので、いつもどおり平常心で指せるように努力したい」と話しました。
あべ・こうる 1994年10月25日生まれ。青森県弘前市出身。中村修九段門下。2011年4月四段昇段プロ入り。
見どころ
独自の棋風 ぶつかり合い
立会人 佐藤天彦七段
決勝第2局の立会人、佐藤天彦七段(第39・42期新人王)に決勝三番勝負の見どころを聞きました。 佐々木五段、阿部四段とも若くしてプロになり、手がよく見える若手棋士として知られています。
ともに居飛車を中心とした将棋ですが、オーソドックスというより独特の感覚、独自の棋風をもつ2人です。その両者がどうぶつかり合うかが見どころです。阿部四段は居飛車、振り飛車とも指しますし、佐々木五段も戦法の幅をひろげてきています。まずは序盤の駒組みから注目ですね。
お互い積極的な将棋で、文字どおり新人王戦らしい、若々しい将棋が期待できます。
日程
■第1局 8日(水) 立会人 田村康介七段
■第2局 17日(金) 立会人 佐藤天彦七段
■第3局 24日(金) 立会人 北浜健介八段
*いずれも東京・将棋会館で午前10時対局開始
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