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2014年10月5日(日)

社会リポート

不安押しのけ 米軍基地

レーダー建設 反対広がる

京都・京丹後

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 京都府京丹後市丹後町袖志(そでし)で、米軍の「ミサイル防衛」システムの一環である「Xバンドレーダー」が配備される米軍基地(経ケ岬通信所)の建設が進んでいます。青森県つがる市の車力通信所に続き国内で2番目、近畿地方では初の米軍基地です。基地建設に住民からは怒りと不安の声が上がっています。

 (笹川神由)


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(写真)工事中の経ケ岬通信所。右側の崖部分が保護地域の「穴文殊」

 昨年2月、日米首脳会談で合意し、京丹後市への米軍基地建設が決まりました。

 基地建設予定地の宇川地区では、住民の半数以上が建設反対の署名をしました。

 強引な基地建設の進め方に、住民は怒り心頭です。防衛省は、住民に事前に知らせることなく、基地建設を着工しました。住民は着工前日の午後になって建設を知らされました。

環境や健康被害

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(写真)「米軍基地いらない」と唱和する集会参加者=4日、京都府京丹後市

 環境管理基準でも、アメリカでは、歴史的建造物や、コウモリなどの貴重生物がすむ地域には基地は造らないと決めています。

 しかし経ケ岬通信所では、京都府内の保護を要する地形・絶滅危惧種を定めた「京都府レッドデータブック」に選ばれている海食洞の「穴文殊(あなもんじゅ)」が建設地の下にあります。近くには絶滅危惧種のハヤブサが生息し、辺り一帯は国定公園にも指定されています。

 日本共産党京丹後市議団の田中邦生団長は「アメリカの基準に照らせば、あの場所に基地は造れない。日本には環境管理基準が適用されていないのと同じだ」と指摘します。

 Xバンドレーダーは、巨大な電子レンジのようなもので、高出力の電磁波を出し、ミサイルを探知します。人体への健康被害も懸念されていますが、どれくらいの影響があるのかは「軍事機密」として発表されていません。

 田中市議団長は「すぐ隣に自衛隊の庁舎があり、自衛隊員の健康被害も予想される」と危惧します。

 元漁師の男性(85)は「電磁波の影響はないと説明されたが、実際はわからない。漁にはまた出たいが、影響があるならあきらめるしかない」と語ります。

 すでに、京丹後市では米軍人・軍属90人が市内のホテルに滞在しています。ホテル近くのファストフード店で働く女子高校生は「はじめ来たときは怖かった。学校でも、気をつけるようにと注意された。沖縄での(米軍犯罪の)こともあるし…」と不安そうに語りました。

 住民からは、京都府の警察の態度にも批判が出ています。

 警察は、米軍人や基地に対する住民の不安を除くために配置されました。ところが、基地の近くで写真を撮った人に職務質問をしたり、朝から夜までパトカーで巡回したり、まるで住民を監視しているかのようです。農家の男性(73)は「日本の警察なのに、市民ではなく、米軍基地を守っているようだ」と語り、「過疎化が進むこの地域に、基地ができたら若い人たちは帰ってこなくなる。基地のせいで平和だったまちが壊されてしまった」と嘆きます。

あきらめず運動

 「市民の安心、安全のためにもレーダーの搬入は事前に知らせるべきだといっても、市は『保全すべき情報』もあると答えるだけだ」と憤る田中市議団長。「住民の中には、『基地建設は決まったこと』という思いがあるが、沖縄のたたかいに学んで、危険なものはいらないの声を上げ続けなければならない」

 「京丹後に米軍基地はいりません」。4日、宇川地区で開かれた集会に集まった1400人を超える参加者の唱和が、基地建設予定地周辺に響きました。


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