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2014年9月20日(土)

スコットランド独立否決

英緊縮策への不満

大接戦 自治権拡大の成果も

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 【パリ=島崎桂】英国北部スコットランドの独立を問う住民投票で、有権者は悩みぬいた末に英国への残留を決めました。接戦の明暗を分けたのは、独立賛成派が描ききれなかった独立後の通貨など経済への不安です。一方で、独立への賛否を超えて示されたのは、英国政府が進める緊縮政策への不満でした。


 5月30日に始まった公式の投票キャンペーン以降、30%台で推移していた賛成派は、8月末のテレビ討論会を境に急進しました。同討論会では、スコットランド自治政府のサモンド首相が、英政府による国民保健サービス(NHS)の民営化方針を徹底的に批判。有権者の共感を得たことで、直後の世論調査では一時、独立賛成が反対を上回りました。その後、反対世論が巻き返しましたが、両派への支持は均衡し、今回の大接戦へとつながりました。

 有権者の関心は極めて高く、投票率は異例の84・6%に達しました。

 投票日の18日を通じ、ツイッター上では有権者の思いが交錯。英政府への不満を共有する中、対応策の違いから投票先が分かれる例も多く見受けられました。

 独立賛成票を投じたという男性は「政府はイングランド人の声すら聞かないのに、どうしてスコットランド人の声を聞くなどと思えるのか」と投稿。反対票を投じたという男性は「政府がスコットランド人を代表していないと考えるなら、そこにとどまり改善を目指すべきだ」と訴えました。

 英政府への不満はスコットランド内にとどまりません。緊縮政策と企業寄りの施策を進めるキャメロン英首相の与党保守党に対し、英国内でもとりわけ嫌悪感が強いスコットランドの独立は、国内他地域にとっても見過ごせない事態でした。

 世論調査会社ユーガブは、スコットランドが独立した場合、残された地域での同党への支持が相対的に高まり、来年の総選挙で保守党政権が存続するとの試算を公表。スコットランド、イングランドとともに英国を構成するウェールズと北アイルランドのメディアからは、政権批判者としてのスコットランドの残留を願う声も聞かれました。

 一方、住民投票の成果もあります。今回独立は阻止されたものの、英政府や与野党は、独立反対の支持を取り付けるため、投票直前にスコットランドへの大幅な権限移譲を約束したという事実は残りました。自治権拡大は住民投票の一つの成果であり、今後、英国政府はこの約束の履行を迫られます。


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