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2014年9月4日(木)

日本のヘイトスピーチ問題

国連条約機関の勧告

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 国連人種差別撤廃委員会が先月末採択した日本に関する総括所見(最終見解)では、日本各地に広がっている、人種や国籍で差別し暴力を扇動するヘイトスピーチ(憎悪表現)問題に、日本政府が断固として対処するよう法規制を含めた対応を勧告しました。

 この問題では、ことし7月にも国連自由権規約委員会が差別助長につながる活動の禁止や違反者の処罰規定などを日本政府に勧告しています。ヘイトスピーチ問題をめぐり国連条約機関から勧告が相次いでいることは、日本の現状が世界の流れから大きく立ち遅れており、そのことを国際社会が深く懸念している現実をあらわしています。

 8月の人種差別撤廃委員会と7月の自由権規約委員会の「最終見解」のうち、ヘイトスピーチ問題に関する部分を紹介します。

国連人種差別撤廃委員会の最終見解から

ヘイトスピーチとヘイトクライム

 11.委員会は、締約国における、外国人やマイノリティー、とりわけコリアンに対する人種差別的デモや集会を組織する右翼運動もしくは右翼集団による差し迫った暴力への扇動を含むヘイトスピーチのまん延の報告について懸念を表明する。委員会はまた、公人や政治家によるヘイトスピーチや憎悪の扇動となる発言の報告を懸念する。委員会はさらに、集会の場やインターネットを含むメディアにおけるヘイトスピーチの広がりと人種主義的暴力や憎悪の扇動に懸念を表明する。また、委員会は、そのような行為が締結国によって必ずしも適切に捜査や起訴されていないことを懸念する。(第4条)

 人種主義的ヘイトスピーチとのたたかいに関する一般的勧告35(2013年)を思い起こしつつ、委員会は人種主義的スピーチを監視したたかうための措置が抗議の表明を抑制する口実とされてはならないことを想起する。しかしながら、委員会は締約国に、人種主義的ヘイトスピーチおよびヘイトクライムからの防御の必要のある被害をうけやすい集団の権利を守ることの重要性を思い起こすよう促す。したがって、委員会は、締約国が以下の適切な措置を取るよう勧告する。

 (a)憎悪および人種主義の表明ならびに集会における人種主義的暴力と憎悪の扇動に断固として対処すること、
 (b)インターネットを含むメディアにおけるヘイトスピーチとたたかうための適切な措置を取ること、
 (c)そうした行動に責任のある民間の個人ならびに団体を捜査し、適切な場合は起訴すること、
 (d)ヘイトスピーチおよび憎悪扇動を流布する公人および政治家に対する適切な制裁を追求すること、
 (e)人種差別につながる偏見とたたかい、民族間および人種的・民族的諸集団の間での理解、寛容そして友好を促進するために、人種主義的ヘイトスピーチの根本的原因に取り組み、授業、教育、文化、情報面での対策を強化すること。

国連自由権規約委員会の最終見解から

ヘイトスピーチと人種差別

 12.委員会は、朝鮮・韓国人、中国人または部落民などのマイノリティー集団の構成員に対する憎悪と差別を扇動している広範囲におよぶ人種主義的言説と、刑法および民法においてこれらの行為からの保護が不十分であることに懸念を表明する。委員会はまた、過激論者による示威行動が許可される件数の多さ、外国人生徒・学生を含むマイノリティーに対するハラスメントと暴力、民間施設で「ジャパニーズ・オンリー」などのあからさまな掲示にも懸念を表明する。(2条、19条、20条、27条)

 締約国は、差別、敵意、暴力の扇動となる、人種的な優越または憎悪のあらゆる宣伝を禁止すべきであり、またそのような宣伝を流布することを意図した示威行動を禁止すべきである。

 締約国はまた、人種主義に反対する意識啓発キャンペーンのために十分な資源を割り当てるとともに、裁判官、検察官、警察官が憎悪および人種的動機に基づく犯罪を発見する力をつける訓練を受けるようにするための取り組みを強化すべきである。締約国はまた、人種主義的攻撃を防止し、容疑者が徹底的に捜査され、起訴され、有罪判決を受けた場合には適切な制裁により処罰されることを確保するためのあらゆる必要な措置をとるべきである。


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