「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2014年8月1日(金)

米国家による情報収集活動

“民主主義 壊す”

記者 ⇒ 不正暴けない 弁護士 ⇒ 訴訟避ける

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

写真

(写真)NSAによる違法な情報収集活動の停止を求めて集会を開く人たち=1月17日、ワシントン(島田峰隆撮影)

 【ワシントン=島田峰隆】米国の人権擁護団体「全米市民的自由連盟」(ACLU)と国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは7月28日、米国家安全保障局(NSA)などの行う情報収集活動が記者や弁護士の自由な行動を制約し、米国の民主主義を破壊していると批判する報告書を共同で発表、同活動の停止を強く求めました。

人権団体が報告書

 報告書は、新聞や通信社、テレビなどの現役記者と弁護士のほか、政府の情報収集活動に詳しい現職・退職の政府高官ら92人に行ったインタビューにもとづいてまとめられたものです。

 それによると記者は、重要情報をメディアに提供した人物の訴追が増えてきた数年前から、取材の困難を感じ始めています。特に昨年、NSAによる情報収集活動が暴露された結果、取材対象者が「ますます話すことを怖がるようになっている」「“この外交方針の根拠を説明してほしい”という質問にさえ回答をためらう情報源もある」といいます。

汚職ますます

 報告書は「政府の情報収集活動のために、記者とその情報源が情報漏えいへの取り締まりに対して持つ懸念が拡大された」とし、既存の取材源からの取材や新しい取材源の発掘が困難になっていると指摘しました。

 記者の側も情報源を守るために、電子メールの暗号化を図ったり、盗聴者を混乱させる通信記録をわざと作成したり、全く見せかけの出張取材日程を組んだりするなどの対策を余儀なくされ、実務的にも財政的にも重荷になっています。

 報告書は、情報を収集し、その漏えいを防ぐ政府の活動が「政府の不正をチェックするというメディアの能力に影響を与えている」と指摘。ワシントン・ポスト紙の著名な記者、デーナ・プリースト氏はインタビューに対し、「政府をより良いものにするのは、情報を暴露するというわれわれの仕事だ。私の仕事はますます難しくなっているが、それだけが問題ではない。その結果、国家はますます安全でなくなり、政府機構の機能は弱まり、汚職の危険が強まる。秘密はわれわれ全員に不利に働く」と述べています。

弁護にも影響

 また弁護士の活動でも記者と同様の困難が生まれていると強調。顧客とのやり取りを追跡されることを恐れ、政府による情報収集の対象になりそうな訴訟に関わりたがらない弁護士もいるとしています。

 報告書は「政府の情報収集は基本的人権をむしばみ、米国の民主主義の性質を変える危険がある」と警告。米政府に対し▽大規模な情報収集の中止▽情報収集活動に関する情報の公開▽政府の機密情報の削減と高官のメディアとの接触規制の緩和―などを勧告しました。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって