2014年7月21日(月)
スポーツ庁設置のあり方 日本共産党スポーツ委員会責任者宮本岳志衆院議員に聞く
五輪のためでなく長期・総合的検討を
選手・団体の声聞き、よいものに
スポーツ庁のあり方についてまとめたスポーツ議員連盟のプロジェクトチーム(PT)案は、スポーツ団体から異論が続出し、再検討することになりました。この問題について、日本共産党スポーツ委員会責任者の宮本岳志衆院議員に聞きました。
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スポーツ庁についてスポーツ基本法は付則第2条に「スポーツに関する施策を総合的に推進するため…必要な措置を講ずるものとする」と定めています。
唐突な日程案が
私たちは基本法施策の柱(スポーツ条件の整備、多様なスポーツの普及振興、競技水準の向上)に沿って総合的な施策を検討すべきだという立場で、設置そのものに反対ではありません。そのため、議連のPTにも加わってきました。
ところが、PTには秋の臨時国会で法案を成立させ、来年4月にスポーツ庁を立ち上げるというスケジュールの案が唐突にでてきました。
基本法に基づく総合的な施策の検討はまだ道半ばです。各省庁にわたるさまざまなスポーツ関連諸事業の調整についても、「総合スポーツ会議」を設置するというだけです。それなら、新庁をつくる必要はありません。
中身も、重大な問題があります。2020年東京五輪でメダルを取るために、国が資金を含めて上意下達で進めるという狙いです。選手強化費を拡充するため公的資金の流れを一元化し、スポーツ庁参加の新組織がスポーツ団体に直接配分する案が示されています。これは、日本オリンピック委員会(JOC)をはじめとしたスポーツ団体の自治を無視しています。
たしかに一部の競技団体で補助金の不正受給などが起きたのは事実ですが、それはスポーツ団体自身が自治能力を強化して解決していくべきものです。不祥事を理由に国が資金の配分に介入するというのは筋が違います。
JOCとスポーツ団体は、PT案に強く反対し、自主性を尊重するよう求め関係者に働きかけました。私もJOCから60の全国内競技団体が名を連ねた要請書を受けとりました。
実は、強化費の拡充は2020年までの話で、その先の保証はありません。JOCもそこを不安視していました。スポーツ庁をつくるなら長期的な展望を持って根本的な検討が必要だという私たちの立場は、JOCの問題意識とも一致しています。
そもそも、基本法ができたとき、五輪開催は決まっていませんでした。五輪のためにスポーツ庁をつくる必然性はありません。たとえ、東京五輪でメダルをたくさん取りたいという目的があったとしても、いまから強化資金の流れを変えるなど愚かなことです。
自主性尊重して
PT案は、資金の一元化だけは具体的ですが、それ以外の中身はほとんどない。それをスポーツ庁と強弁するのは無理があります。それで私たちは、PTの会合でも議連総会でも「スポーツ庁設置は拙速に行うべきでない」と主張し、反対を表明しました。
スポーツに関する施策を決めるときは、全てのスポーツ団体を回って「困っていることはありませんか」と聞くことが政治の役割です。政治家が一方的に決めるのはよくない。オリンピックやフェアプレーの精神を学んでいる選手の声をよく聞けば、よいものができるはずです。
スポーツ庁をつくるなら、スポーツ団体の自主性を最大限尊重して、みんなが納得できるものにすべきです。