2014年7月10日(木)
ブラジルが歴史的大敗
ドイツが決勝へ
冷静さ奪った重圧
【サンパウロ=ワールドカップ(W杯)取材団】サッカーのW杯ブラジル大会は8日、ベロオリゾンテで準決勝が行われ、開催国ブラジルがドイツに1―7で歴史的な大敗を喫しました。
ドイツは前半11分に先制すると、23分からの6分間で4得点。FWクローゼ選手がW杯通算16点目を挙げ、通算最多得点記録を更新しました。
6分間に一体何が起きたのか。ブラジルのこんなにもろい姿は見たことがありません。
守備をずたずたにされて2失点目を喫した落胆から、崩れていきました。なにより「優勝を義務付けられている」(ブラジルのスコラリ監督)との重圧が、冷静さを失わせた気がしてなりません。
1950年、ブラジルは地元開催のW杯で優勝を逃し、「マラカナンの悲劇」と語り継がれてきました。今度こそと期待を担わされ、選手たちに過剰な重圧となったのは想像に難くありません。
選手が勝利を目指すのは当然ですが、それが強制されたら無理やひずみが生じます。精神的に追い込まれるとともに、結果だけを求められてしまいます。
試合後、選手らは涙しながらもドイツ選手のいたわりを受け止め、たたえ合いました。会見では「彼らは僕らより上だった。大きな悲しみの日となってしまったけど、人生においてここから多くを学ばなければ」とブラジルのダビドルイス選手。前を向きました。
最もつらいのは選手たちです。それ以上、追い込む必要は何もありません。選手を信じ、見守り、励ますことこそ、求められているのではないでしょうか。(和泉民郎)