2014年6月6日(金)
韓国教育長選挙 13都市で“進歩派”当選
無償化、序列解消訴え
韓国で統一地方選挙と同時に行われた教育監(教育長)選挙は4日投開票が行われ、17の主要都市のうち13都市で民主的な教育を訴えた“進歩派”候補が当選しました。 (栗原千鶴)
ソウル市をはじめ仁川市、京畿道の首都圏を制し、保守的な有権者が多いといわれる釜山市、慶尚南道でも勝利。現地では「解放(1945年)後、はじめてのできごと」(オーマイニュース)、「歴史上はじめて」(KBS)と報道するなど、大きな衝撃をもって受け止められました。
教育監は、地域内での予算編成、教育規則の制定、教育課程の運営などの権限があり、地域性を生かした教育を進めることができます。候補者は政党の推薦を受けることはできません。
候補者らは、共同で公約「民主進歩教育」を発表。入学試験中心の教育と高校の序列化の解消、学生の安全などを掲げ、無償教育や無償給食の拡大などを訴えました。
政府が導入した英才教育のための「自立型私立高校」の存廃は大きな関心を集めました。この制度は、入試を重視し、成績によって5年ごとに教育監が評価、指定の解除や延期を決めます。
現在の教育体制は持続的ではないと指摘していたソウル市の候補は当選後、「一般高校で正規の教育課程を受ければ自分が望む大学に行ける教育環境をつくる」と語りました。
多くの高校生が犠牲になった客船「セウォル号」沈没事故を通して、教育問題への関心は高まっており、犠牲者と同年代の子どもを持っている「アングリーママ」(怒れる母親)と呼ばれる40代女性の動向が注視されていました。
ある専門家は「彼女たちが競争より人間的な教育に関心を持つようになったことが勝因」と語っています。