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2014年6月2日(月)

産業競争力会議で准保育士案

父母ら「保育の質が不安」

“子どもの命を最優先に”

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 保育士の不足が問題となるなか、政府の産業競争力会議で、育児経験のある女性を対象に「准保育士」資格をつくる案が出されました。父母や保育関係者から「保育の質が不安だ」と批判がでています。問題点を見てみると―。 

 (岩間萌子)


 経済同友会の長谷川閑史代表幹事が、企業参入と保育士不足を理由に、民間認証の准保育士を設けることを提案。育児経験のある主婦層の就業機会を増やせると言っています。6月にまとめる「成長戦略」に入れることを狙っています。

 保育士として働くには、短大や専門学校を卒業するか、児童福祉施設で実践を積んだ後に試験に合格する必要があります。

 准保育士は、育児経験がある女性が3カ月程度の研修をうければ取れるようにします。第1次安倍政権の2007年にも、受験科目を減らして導入することが財界側から提案されましたが、世論の反対で実現しませんでした。今回はさらに緩和しようとしています。

 保護者は、子どもの命を預かる保育の質の低下につながるとして反対の声を上げています。

 認可保育所の増設を求めて活動する「さいたま*保育園のことを考える親の会」共同代表の阿部一美さん(35)は11年、認可外保育施設に預けていた長女(当時1歳)を亡くしました。うつぶせ寝の体勢で心肺停止していました。

 保育士からの聞き取りで、布団を頭からかぶせて無理やり寝かしつけたことや、午睡中の保育室を無人にしていたことが分かりました。「子どもたち一人ひとりの発達に合わせて専門的知識をもった保育士が保育をすることと、育児は違います。安易な規制緩和ではなく、子どもの命を最優先に考えてほしい」。

 厚生労働省に自治体から報告があった保育施設での死亡事故(13年)は19件。うち15件は認可外施設でした。

 日本共産党の田村智子参院議員は4月14日の決算委員会で取り上げ、「保育の質の向上に逆行する」と追及。甘利明経済財政担当相は「指摘の危惧もあたってしまう」としながらも「(制度)設計次第」と答えました。

 保育士不足の大きな要因は低い待遇です。60万人が資格をもちながら働いていません。厚労省の調査によると、保育士を希望しない理由のトップは「賃金が希望とあわない」でした。保育士の平均賃金は全職種の平均と比べて、月9万円以上低くなっています。

 厚労省は、潜在保育士の復帰を促すために、処遇改善を掲げています。しかし、准保育士を導入すれば現場はどうなるのか。

 全国福祉保育労働組合の佐々木和子・保育部会事務局長は、「3カ月の研修で子どもの命を守る保育の専門性が身につくとは考えられません。現場の保育士に責任が集中し、負担が増えます。准保育士を安い労働力とするなら、保育従事者全体の賃金水準を下げることにもつながる」と指摘。「厚労省がすべきことは、資格要件の緩和での人材確保ではなく、保育士の賃金引き上げや処遇改善の予算を増やすことです」と話しています。


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