「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2014年5月17日(土)

インド 与党惨敗

総選挙 10年ぶり政権交代

野党・人民党が過半数見通し

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 【ニューデリー=安川崇】下院の543議席を選ぶインド総選挙(小選挙区制)の開票作業が16日、全国一斉に始まりました。選管や現地テレビによると日本時間同日夕の時点で、モディ氏を首相候補とする最大野党のインド人民党(BJP)が過半数の275議席を獲得し大勝する見通しです。2期10年にわたり政権を担った与党国民会議派は60議席前後と低迷し、「結党以来の敗北」(メディア)が確実となりました。


 BJPは単独過半数を確保したことに加え地方政党などとつくる国民民主連合(NDA)全体では320議席以上を確保。さらに独立勢力として選挙をたたかった地方政党もNDAに参加する可能性があり、安定した権力基盤を得る見通しです。

 一方、与党国民会議派は前回選挙の獲得議席206を大きく下回りました。地方政党とつくる統一進歩連合(UPA)全体でも75議席前後にとどまる様相です。

 2009年の前回選挙に与党として挑んだ会議派は、低所得層支援策への期待で幅広い支持を獲得。しかし2期目は相次ぐ大型汚職事件や10%近い物価上昇率などで厳しい批判にさらされました。

 13年度の経済成長率が4・7%と10年ぶりの低率を記録。小選挙区制の元で現政権批判がBJPの勢力伸長に結びついたとみられています。

 インド共産党(マルクス主義)=CPIM=など左翼政党と同盟政党は日本時間同日夕の段階で11議席を獲得。過去最低だった前回選挙の24議席を下回る見通しです。

解説

勝因の「開発」 実態は大企業優遇

 躍進した最大野党のインド人民党(BJP)は今回選挙で、中央首相候補のナレンドラ・モディ氏個人を強く前面に押し出すキャンペーンを展開しました。

 特に強調したのが、モディ氏が3期にわたって州首相を務めるグジャラート州の「実績」。06〜12年に州の国内総生産(GDP)が平均12%成長したことなどを示し、「開発・発展の人」として売り込みました。

 投票所や街頭で記者が取材したBJP支持者の多くが、「就職」「停電の緩和」「上水道の整備」などへの期待を語りました。

 一方、グジャラート州の「発展」の陰で、5歳以下の子どもの45%が栄養失調で、医療保健支出が州予算に占める割合は90〜95年の4%から05〜10年の0・7%に低下した実態があります。

 ネール大学のチャンドラシェカル教授(経済学)は「モディ氏の手法は州の財源・資源を大企業に融通すること。財界と都市中間層の利益は増えたが貧困層には回らない。この『実像』が選挙民に伝わっていない」と指摘します。

 また、同党の選挙政策に盛り込まれた、核政策の見直しや、隣国への強硬姿勢が十分に議論されたとは言えず、平和団体などは懸念を表明しています。

 BJP躍進の背景には、テレビなどが早くからモディ氏を「次期首相」として扱い、破格の露出度を与えてきたことがあります。

 首都にあるメディア研究機関の集計によると、今年3、4月のゴールデンアワーのテレビ政治報道で、モディ氏の登場時間は計2575分。2位となった政治家の799分を大きく引き離しました。

 モディ氏に批判的な非政府組織アンハド創設者のシャブナム・ハシミ氏は「インド史上最も大規模なメディア選挙だった」と振り返ります。

 BJPはヒンズー至上主義団体を母体としており、モディ氏にも02年のグジャラート暴動への関与が指摘されるなど批判がありましたが、全体としては宗教色を出さないキャンペーンで、ヒンズー至上主義に違和感を持つ層からも支持を得ることに成功したとみられます。 (安川崇)


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって