2014年5月10日(土)
「南シナ海」協議
ASEAN きょうから首脳会議
共同体設立準備を加速
【ネピドー=松本眞志】第24回東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が10日から2日間、議長国ミャンマーの首都ネピドーで開催されます。2015年予定のASEAN共同体設立の進展状況を検討し、共同体設立後の構想を協議。ベトナム、フィリピン両国と中国の間で緊張が高まっている南シナ海情勢も話し合います。
南シナ海の西沙諸島近海では3、4の両日、中国の石油・ガス掘削をやめさせようとしたベトナム巡視艇に中国の海警船などが衝突する事態が発生。9日も現場では両国の船舶がにらみあいました。
3国に呼び掛け
一方、フィリピン海洋警察は7日に密漁中の中国漁船を拿捕(だほ)し、乗組員を拘束。中国が海洋監視船を現場に派遣し、漁船と乗組員の解放を求めてフィリピン側に圧力を加えています。
ASEAN各国は事態を悪化させないよう中越比3カ国に呼び掛け。シンガポール外務省は7日の声明で、「すべての当事国が緊張を激化させる行為を自制」し、南シナ海行動宣言(DOC)と国連海洋法条約に沿って紛争を平和的に解決するよう訴えました。
中国とASEANはこの間の高官協議などで、紛争の激化を避ける法的枠組みを話し合ってきました。フィリピンのホセ外務省報道官は、首脳会議でDOCを法的拘束力のある文書に格上げする南シナ海行動規範(COC)の締結や、南シナ海の領有権問題について議論が行われると発言。特にベトナム、マレーシア、ブルネイなどにCOCの早期締結に向けた行動を促すとの考えを示しました。
タイも懸念材料
一方、タイの政治混乱も懸念材料です。インラック前首相が失職したため、代わりにシーハサック外務次官が出席します。同国はASEANの物流拠点の一つ。ASEAN経済統合への悪影響が懸念されています。
また、タイはASEANの「対中国関係調整国」であるため、COC締結協議の進展が遅れる恐れもあります。
タイ外務省は6日、今回の首脳会議が共同体設立の加速化を焦点とし、域内での規範や価値観の共有の促進、非関税障壁の撤廃、規制やルールの調整、ASEAN事務局の強化や機構の見直しなどが課題になるだろうと説明しました。