2014年4月30日(水)
ウクライナ情勢 EU、対ロ制裁拡大
新たに15人 資産凍結と渡航禁止
米、ハイテク製品禁輸も
【パリ=浅田信幸、ワシントン=洞口昇幸】緊迫するウクライナ東部の情勢をめぐり欧州連合(EU)は28日、ロシアに対する制裁の一環として、資産凍結と渡航禁止の制裁対象に新たに15人を加えることを決定しました。
米政府も同日、軍事産業に用いられる恐れのあるハイテク製品の輸出を禁止すると声明を発表。プーチン大統領側近で国営石油会社ロスネフチのセチン社長、コザク副首相ら7人を新たに資産凍結と渡航禁止の対象に指定し、大統領に関する企業17社の資産も凍結します。
EUはこの日、ブリュッセルで大使級会議を開催。欧州委員会のハンセン報道官は、個人対象の制裁を「現時点では適切なレベル」だと述べるとともに、経済・金融分野に及ぶ追加的制裁措置について「準備を進める」と強調しました。
ルクセンブルクのアッセルボルン外相は、「ウクライナで活動しているすべての扇動者をロシアがコントロールしていないことは理解するが、軍の撤退を開始することで事態を変えられる」「それが緊張緩和のサインとなるだろう」と述べ、ロシアが行動に移すことを要求しました。
EUはこれまで、ロシアによるウクライナ南部クリミア編入などに絡み、渡航禁止と資産凍結の措置を講じており、今回15人を追加したことで、合計70人(うちウクライナ人22人)が制裁の対象者となりました。
米政府は、ホワイトハウスの声明で「国際社会は、ロシアが違法な介入と挑発行為をやめなければならないという立場で一致している」と強調。ロシアが挑発行為を続けるなら「米国は、友好国と緊密に協力し、さらに大きな損失を負わせる用意があることに変わりはない」と警告しています。
発表を受け、ロシア政府は「痛みを伴う」報復制裁で応じると米国に警告しました。