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2014年4月29日(火)

フェアプレーの風

――韓国船事故 日韓選手が哀悼

仲間の思い 共有しあう姿

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 選手たちは、一つの思いでつながり、プレーしていました。

 26日、サッカーのJリーグでのこと。多くの選手が、腕に喪章(黒い腕章)をつけて、プレーしていました。J1では18チーム中8チームが、J2でも7チームが、この輪に加わりました。

行動

 韓国南西部の珍島沖で起きた旅客船沈没事故(16日)で亡くなった人々を悼んでのことです。300人を超える死者・行方不明者のうち、大半が修学旅行中の高校生というあまりに悲しい出来事は、日本でも連日、報じられています。

 これに心を痛めながらプレーする、Jリーグの韓国人選手たち。周りにその思いを吐露したことがきっかけでした。

 最初に動いたのは、J2の京都と愛媛でした。23日、それぞれの韓国選手の申し出を受けて話し合い、ともにたたかう試合(26日)で、スタッフも含めて喪章をつけ、追悼することにしたといいます。

 京都のGK呉承訓(オ・スンフン)選手は、試合に向けての思いをこう明かしていました。

 「毎日やりきれない思いでいっぱいです。一人の人間として、プロサッカー選手として、被害に遭われた方々に少しでも勇気や希望を与えることができるよう全力でプレーしたい」

 この動きは他のチームにも広がりました。

 その一つであるJ1神戸。試合前にMF鄭又栄(チョン・ウヨン)選手は語っていました。

 「当初は僕一人、喪章をつけて試合に臨もうと思いましたが、ともに哀悼の意を表してたたかってくれるチームメートに感謝しています」

 Jリーグでは多くの外国人選手がプレーしています。なかでもJ1の韓国選手は、ブラジル選手(29人)に次ぐ20人と多い。リーグやチームにとって大きな存在です。その仲間の悲しみ、思いを日本の選手が受けとめ、共有し合う。そして隣国の人々の悲しみに思いを寄せつつ、行動する姿がここにあります。

尊さ

 今回、すべてのクラブが動いたわけではありません。あくまでも、それぞれのクラブ、選手の自発的な行為が“形”になったものです。でも、だからこそ、そこに尊さがあるように思えてなりません。

 喪章をつけた鳥栖にあって、得点を挙げたMF金民友(キム・ミヌ)選手は、腕から喪章をとって、天に掲げました。

 「PKを豊田に譲ってもらって感謝している。国全体が悲しみに陥っているので、気持ちを伝えたかった」

 PKを譲った豊田陽平選手も、決めた金選手も、その思いは同じです。

 Jリーガーたちの“小さな”行為かもしれません。しかし、そこには日韓の選手による深い追悼の意がこめられています。それが、隣国の人々の悲しみを少しでも癒やすことにつながれば…。そう願わずにはいられません。(和泉民郎)


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