2014年4月29日(火)
米比が新軍事協定
比基地に米軍施設建設へ
中国「封じ込め」否定 米大統領
米国とフィリピン両国は28日、10年期限の新軍事協定「防衛協力強化協定(EDCA)」を締結しました。比軍基地内に施設を建設し、米軍部隊の「一時的」駐留をおこなうことを認めるもの。同日午後には、アジア歴訪最後の訪問先としてオバマ米大統領がフィリピン入りし、アキノ大統領と会談しました。終了後の記者会見でオバマ氏は、同協定について、中国の「封じ込め」が目的ではなく、「平和的台頭」を歓迎すると表明。アキノ氏も南シナ海の領有権問題で「平和的解決」を強調しました。
【ハノイ=松本眞志】フィリピンのガズミン国防相とゴールドバーグ駐比米大使は28日、マニラ首都圏の国軍本部で「防衛協力強化協定」に調印しました。フィリピン軍の基地の中に米軍が施設を建設し、そこに米軍部隊が「一時的」に駐留し、軍事装備の事前集積などが行われます。
比外務省は、新協定について、フィリピン軍の近代化や防衛力強化、海洋安全保障、災害時の人道支援などが目的だと説明。米軍の比軍施設の共同使用や暫定的な施設の建設、合同軍事演習の強化などが可能となるとしています。
米軍の駐留規模や施設の建設先は今後協議されますが、撤退前に米軍が拠点としたスービック海軍基地が含まれるといわれます。
比上院が1991年に米軍駐留協定延長を否決し、米軍はその翌年フィリピンから全面撤退。協定について比外務省は、▽外国軍駐留を認めない比憲法の厳格な順守▽フィリピン主権の尊重▽米軍の部隊や基地は「非永続的駐留」▽米軍が使用する施設へのフィリピンの完全な管轄▽核兵器の持ち込み禁止―などの原則があると説明しています。
国内では「米軍が復帰するのではないか」と懸念する市民らが、大統領宮殿近くで新協定締結反対の抗議行動を起こしました。
現地からの報道によると、政治評論家ラモン・カシプル氏は、新軍事協定締結の背景に、中国の域内での台頭にたいする国防力強化を「切迫した」課題とするフィリピン側と、「アジアにおいて再度その関与を模索している」米側の思惑の一致があると指摘しています。