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2014年3月30日(日)

主張

特養待機者52万人

悲鳴に背を向け続けるのか

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 特別養護老人ホームへ入所を希望しても、入所できずにいる高齢者が全国で約52万4千人(2013年時点)にのぼることが厚生労働省の調べで分かりました。特養の総定員数約51万人を超す高齢者が、入所を待たされ続けている現状は危機的です。このうち在宅待機者が約26万人いることも深刻です。特養が全然足りないことはいわれてきたのに、計画的な大増設に踏み出さなかった政府の責任は重大です。特養大増設など政策転換は待ったなしです。

制度の根幹を揺るがす

 特養に入所できない高齢者数は調査のたびに増え続け、前回調査(09年)で、すでに約42万人に達していました。「1年、2年待ちはざら」「死ぬまでに入れないかもしれない」。高齢者と家族の悲痛な声は高まり続けているのに、その後増設された特養は7万5千人分程度にすぎません。4年間で待機者が約10万人も増えた異常事態は、特養大増設に背を向け続けている政府の失政がもたらした結果であることは明らかです。

 政府は、介護への公的支出を抑制・削減するため、特養建設への国庫補助の廃止(一般財源化)や施設費への国の負担を削減するなど、特養大増設を事実上妨げる政策を続けてきました。介護保険制度が始まった2000年と13年で比べると、民間営利企業が多数参入する有料老人ホーム定員数が9倍以上に増えたのに、特養の増加は1・7倍にとどまりました。高額な入居費用がかかる有料老人ホームに、いったいどれだけの高齢者が入れるというのでしょうか。11年から「サービス付き高齢者向け住宅」の建設を開始しましたが、費用負担や介護サービス保障の点から、特養を希望する人の“受け皿”として機能を果たしていません。24時間対応の在宅介護体制も整備が追いついていません。

 高い保険料を払い続けてきたのに、いざ必要になったときに使えない人たちが激増している事態は、介護保険への信頼を失わせる、制度の根幹にかかわる大問題です。

 安倍晋三内閣が来週早々に衆院審議入りを狙う「医療・介護総合推進法案」は、特養からの締め出しを加速する内容です。特養入所対象を原則「要介護3以上」に限定することは、国民の願いに真っ向から反します。今回の厚労省調査で17万8千人にのぼる「要介護1〜2」の高齢者は、入所希望すらできず、「待機者」の対象からも除外されてしまいます。これは「要介護3」に進行するまで待て、と高齢者の健康状態と生活機能の悪化を迫るに等しい、非人間的なやり方です。

 国民の批判によって、要介護1〜2でも「やむを得ない事情」があれば入所できるとしましたが、すでに要介護3以上の待機者が34万5千人もいる現状からすれば、有名無実になりかねません。いまでさえ地域によっては要介護1〜2の入所は事実上不可能だからです。改悪法案は撤回し、特養の大増設にこそ力を注ぐべきです。

安心を保障する政治を

 人生の最後に行き場を失う人を大量に生み出す国に未来はありません。介護を「家族の犠牲」「自己責任」に求める政治は許されません。特養待機者を解消するため、あらゆる手だてを緊急に講じるとともに、高齢者の安心を保障する政治への転換が必要です。


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