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2014年3月27日(木)

特養待機者 52万人

介護保険改悪の危険浮き彫り

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 厚生労働省は25日、特別養護老人ホーム(特養)への入所を希望している待機者が、全国で52万1688人に上るとの調査結果を公表しました。2009年の前回調査より約10万人も増えており、施設不足が深刻化している実態が明らかになりました。

 同省は、特養の新規入所者を原則、要介護3以上の中重度者に限定する法案を今国会に提出しており、入れなくなる要介護1―2の人は17万7526人(34%)にのぼります。在宅サービスも確保されないなかで、必要な介護を受けられない高齢者を大量に生み出す危険性が改めて浮き彫りとなりました。

 待機者のうち、入所要介護5は9万7030人、同4は12万1449人、同3は12万5683人でした。

 待機者の内訳は、在宅が25万7934人、病院など他の施設入所者が26万3754人。 都道府県別では、東京(4万3384人)が最多で、次いで宮城(3万8885人)、神奈川(2万8536人)、兵庫(2万8044人)の順でした。

 13年10月1日時点で都道府県が把握している入所申し込みの状況を集計しました。

解説

政府の責任で抜本増設を

 特別養護老人ホームの入所待機者が4年間で10万人も増えたことは、医療・介護を必要としながら行き場所のない高齢者の急増を示しています。4年間、待機者の調査すらせずに適切な対策を怠ってきた政府の責任は重大です。

 調査では要介護1〜2の特養待機者が17万人以上に上ることも判明しました。この人たちを原則入所の対象外にする安倍内閣の法案は、必要な支援を受けられずに重症化する人を増やし、重度の特養待機者を増やす悪循環を招くだけです。

 これまで政府は、特養ホーム建設への国庫補助を廃止して一般財源化し、施設給付費への国の負担を減らして自治体の負担を増やすなど、特養の抜本増設に背を向けてきました。他方、サービス付き高齢者住宅(サ高住)の建設を促し、訪問看護・介護で対応する政策を推し進めてきました。

 2009年から12年までの4年間に特養の増設は5万7500人分にとどまる一方、サ高住は7万999人分建設されています。その中で特養待機者が10万人も増えたのは、政府の政策が現実に適合していないことを示しています。

 特養入所者の8割は低所得者(住民税非課税)です。医療・介護を必要とする低所得者が入居できる「終(つい)のすみか」が特養しかないのが現状だからです。サ高住の場合、家賃・共済費・食費・生活費に加えて訪問看護・介護の利用料が必要です。低年金・無年金者が増える中、所得に応じて居住費・食費が軽減される特養に入所希望が殺到するのは当然です。

 国庫補助の復活や用地取得への支援などを行い、特養の抜本増設にかじを切るべきです。同時に、特養以外の多様な介護基盤の整備や在宅介護の充実に本腰を入れるなど、あらゆる手だてを講じて待機者解消を進める必要があります。 (杉本恒如)


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