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2014年3月21日(金)

黒田日銀総裁の1年

「国民経済発展」の使命逸脱

大増税・安倍政権と同歩調

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 安倍晋三政権の肝いりで黒田東彦(はるひこ)氏が日本銀行総裁に就任して20日で1年がたちました。2年程度の期間を念頭に置いて2%の物価上昇率を目指す「異次元の金融緩和」を推進してきました。日本の国民と経済に何をもたらしているのでしょうか。 (金子豊弘)


 日銀法は日銀の使命について、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」と定めています。

景況感悪化

 ところが、この1年間、景気に対する国民の意識は悪化し続けているのが現実です。日銀の「生活意識に関するアンケート調査」によると、昨年12月時点で、1年前と比べると「悪くなった」と回答した人は、21・5%でした。昨年6月の調査からは3・5ポイント増えました。

 内閣府の2月の消費動向調査によると、半年後の暮らしの明るさを示す消費者態度指数は、前月比2・2ポイント低下の38・3。2011年9月以来、2年5カ月ぶりの低水準となりました。2月の景気ウオッチャー調査によると、3カ月前と比べた街角の景況感を示す現状判断DI(指数)は前月比1・7ポイント低下の53・0となり、2カ月連続で低下しました。

円安を加速

 日銀は昨年4月、資金供給量を2年間で2倍に増やす金融緩和を実施。これによって、円安を加速しました。円安で輸出が拡大すれば、雇用の拡大や中小企業にも仕事が回ります。しかし、この間の円安は、輸出増には結びついていません。

 その理由について、日銀審議委員の中でも独自の立場をとる木内登英(きうち・たかひで)氏は、内需の低迷により企業の海外進出が強まり、海外進出した企業が部品などの現地調達を拡大したことを挙げています。

 円安は、円で受け取る輸出代金の増加をもたらすため、企業には一時的に収益拡大効果があります。木内氏は、円安の条件を海外市場の拡大につなげることよりも、「一時的な収益拡大として享受する傾向が現状では強い」と指摘。生産活動を活発化するよりも、目先の利益追求に走る企業行動を問題視しています。

 一方、円安は輸入品の価格上昇をもたらし、国内物価を押し上げています。

 国民は、物価の上昇を望んでいるわけではありません。日銀のアンケートでも8割の人が物価上昇について「どちらかといえば、困ったことだ」と回答しています。

家計に負担

 円安による物価上昇に加え、4月からは、消費税増税が国民生活に襲いかかります。

 ところが黒田日銀総裁は、たとえ消費税率が10%に引き上げられたとしても「成長が続く」との強気の姿勢を示し、大増税をもくろむ安倍政権と歩調を合わせています。

 「朝日」の世論調査(18日付)では、4月からの消費税増税で家計負担が「かなり重くなる」「ある程度重くなる」と回答した人は、合わせて79%に達しています。消費税率を10%に引き上げることには、68%もの人が「反対」と回答しています。黒田日銀総裁のもとで「国民経済の健全な発展」どころか、国民の生活不安はますます広がっています。

 ある市場関係者はいいます。

 「日銀は、政権追随姿勢を改める必要があります。大企業のもうけの拡大を支援するのではなく、内需を拡大する金融政策に転換すべきです」

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