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2014年2月17日(月)

中央アフリカ 仏軍介入2カ月半

「民族浄化」が拡大  国土分割の危険も

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 無政府状態に陥った中央アフリカ共和国に「治安回復」目的で仏軍が介入してから2カ月半、現地ではイスラム教徒に対する「民族浄化」が拡大し、これを阻止できない仏軍介入作戦の失敗が明白になっています。

 (パリ=浅田信幸)


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 12日、首都バンギに入った国連高等弁務官事務所(UNHCR)のグテレス事務局長は、「中央アフリカは大規模な民族的宗教的浄化に直面している」と指摘。キリスト教徒らで組織された自警団「アンチ・バラカ」によるイスラム教徒への迫害で「人道的破局」が生じていると告発しました。

国連総長警告、政府反応鈍い

 前日には国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長が、国連本部での記者会見で「宗派的暴力が国の人口構成を変えつつある。中央アフリカ共和国の事実上の分割の危険が明白になっている」とし、「国際社会の回答は情勢の深刻さに対応していない」と警告しました。

 そうした懸念に対する中央アフリカ政府の反応は鈍く、サンバパンザ暫定大統領は12日、「宗教・民族浄化があるとは思わない。これは治安の問題だ」と強調しました。

 中央アフリカでは昨年3月、イスラム系反政府武装勢力の連合体セレカ(9月に解散)が武力で政権を掌握。その後、旧セレカ勢力がキリスト教徒を標的に殺人や放火、略奪を繰り返し、これに対抗する「アンチ・バラカ」がイスラム教徒を処刑するなど、報復の連鎖で無政府状態に陥りました。

 国連安保理は12月5日、治安回復を目的にアフリカ諸国による平和維持軍の展開とフランス軍による支援を認める決議を採択。フランスは現在、1600人の部隊を現地に展開し、今後2000人に増強する予定です。

4人に1人がいま避難民に

 しかし「結果は国の治安回復には程遠く、仏軍の介入は力関係をひっくり返し、憎悪を解き放った」(仏紙ルモンド)と指摘されるように、事態はむしろ深刻化。介入後の死者は2000人にのぼり、避難民は現在、総人口の4人に1人の100万人を超えています。

 フランスは、渋る欧州連合(EU)諸国を説き伏せ、500人の部隊派遣の約束をとりつけましたが、各国とも中央アフリカとは直接の利害関係が薄く、財政難の折でもあるため、部隊編成に手間取っているのが現状のようです。

 こうした中、仏メディアでは「仏軍は民族浄化の無力な目撃者」でしかなく、「受け身だと非難される仏軍は、いつかその共犯にされるのではないか」(ルモンド)との懸念が表明されるようになっています。


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