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2014年2月11日(火)

秘密法検討時 法務省が懸念 過失の処罰「慎重に」

政府 法成立まで隠す 入手資料で判明

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 昨年12月、自民、公明両党が強行成立させた秘密保護法は、ミスや予期しないトラブルでの過失による情報漏えいまでも処罰対象としています。これに対して法務省が法案検討時に「慎重に検討する必要がある」と処罰対象が際限なく広がることに、懸念を表明していたことが10日、本紙が情報公開で入手した資料で判明しました。秘密保護法案について政府内に慎重論があったことがわかったのは初めてです。(矢野昌弘)


 秘密保護法案の作成をめぐって、政府は2011年に「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」を開催し、法案の骨格づくりをすすめました。

 この会議は同年8月に報告書をまとめています。報告書づくりにあたっては、法務省や防衛省などの各省庁と会議を取り仕切った内閣情報調査室で文案についてやりとりしています。

 本紙はこれまで、こうした省庁間のやりとりについて情報公開請求をしてきましたが、多くの文書が“墨塗り”で隠されてきました。

 今回、秘密保護法成立後の昨年12月中旬に、改めて本紙が請求した資料でやりとりの一端が判明しました。

 11年5月に法務省が内閣情報調査室に提出した文書によると、有識者会議が、過失による情報漏えいまで処罰することが「適当である」としたことについて、法務省は「考えられる」と表現を弱めるよう求めています。

 その理由について、法務省は「過失犯処罰規定が置かれると、その処罰範囲は相当程度広くなり得る」と指摘しています。

 その一例として、「マニュアル違反を犯した末端の者だけでなく、マニュアルの不備により漏えいした場合にそのマニュアルを制定した者など」と処罰対象が際限なく広がることを挙げています。

 その上で、「慎重に考える必要」「過失犯処罰規定を置くことを相当と結論づけることは危険である」とのべています。

 秘密保護法では、過失による情報漏えいについて「2年以下の禁錮または50万円以下の罰金」と定めています。

 また法務省は、「法律案を作成する場合、本報告書(案)の記述にかかわらず、罰則に関する規定について法務省刑事局と十分な時間的余裕を持って協議する必要がある」と指摘。秘密保護法案が刑罰法規として運用上の問題が多数ある点に懸念を表明しています。

 この有識者会議をめぐっては、議事録がなく、会議参加者がメモを破棄したなどとして、作成過程が明らかになっていませ ん。

提出前公開なら審議違っていた

自由法曹団秘密保護法対策プロジェクトチーム責任者

田中隆弁護士

 「過失でも罰せられる」と威嚇されれば“秘密”にかかわる公務員などは、萎縮せざるをえません。過失犯処罰規定は、この法律の中核部分です。この点を法務省が、「慎重に検討すべき」としたことは注目すべきです。

 秘密保護法審議の国会議事録を私が読んだ限り、法務省が指摘した「マニュアル」のようなことが論点になることはありませんでした。

 昨年の法案提出前に、この事実が明らかになっていれば、国会審議や反対運動は違っていたはずです。安倍政権が検討過程を隠してきたことは、重大だと思います。

図

(写真)過失犯処罰規定に懸念を表明する法務省の文書


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