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2014年1月28日(火)

NHK籾井会長暴言 「放送法順守」自ら侵害

安倍政権の介入が背景に

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 NHKの籾井勝人(もみいかつと)会長が25日の就任会見で、「従軍慰安婦は戦争しているどこの国にもあった」と発言したことで、公共放送の責任者の資格が根本から問われています。籾井氏の発言は事実も歴史も踏まえない暴論の連続で、内外から強い批判がおきています。(NHK問題取材班)


 籾井氏は会見で「放送法を順守」などと何回も口にしました。

 1950年に施行された放送法には何と書いてあるのでしょうか。第1条は放送の目的について「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」「放送が健全な民主主義の発達に資するようにする」と規定しています。

■痛苦の反省

 この文言と精神は、NHKが戦前、文字通りの国営放送として戦争推進の前面に立ったことへの痛苦の反省から打ち立てられ、戦後新たに出発した放送の支柱となったものでした。ところが籾井氏の発言は、NHKの戦前戦後の歴史や教訓をおよそ踏まえないものでした。

 放送法の遂行のためには当然、政権からの独立・自立が必須です。現にNHKのホームページでは「放送法と公共放送」と題して次のように説明しています。

 「NHKの行っている『公共放送』という仕事は、政府の仕事を代行しているわけではありません。『国営放送』でも『半官半民』でもありません」「放送法は、NHKがその使命を他者、特に政府からの干渉を受けることなく自主的に達成できるよう、基本事項を定めています」

 ところが籾井氏は、国際放送について「政府が右ということを左というわけにはいかない」と強調。事実上、政府の代弁者であることを自己告白しました。これではおよそ政府からの自立とは無縁で、「御用放送」に成り下がっていることを示しています。

 国民の反発と不安が広がった秘密保護法についても、籾井氏は「もし世間がいろいろ心配しているようなことが政府の目的であれば大変なことですけど、そういうこともないでしょう」と、強行成立させた政府・与党を擁護。メディアの報道についても「政府の人なんかに言わせれば賛成があってもいいじゃないか、メディアは反対ばかりということもありますから」と“偏向”があったといわんばかりです。

 秘密保護法反対を打ち出していた民放番組は少なくありませんでした。しかしNHKについていえば、看板ニュース番組の「ニュース7」「ニュースウオッチ9」では、法案の中身に迫ることなく政府・与党の法案を前提とした「修正論議」に終始したことは多くの視聴者が体験しています。重要課題を扱う「NHKスペシャル」「クローズアップ現代」でも特集を組むことはまったくありませんでした。

■改変へ圧力

 安倍首相は、第2次内閣発足当初から、メディア関係者との会食を繰り返すなど、入念に「対策」を重ねてきました。公共放送のNHKに対しては、自らの“お友達”を経営委員に大量に送り込み、「籾井会長」を実現させました。

 その背景には、格差社会や震災復興予算流用、原発事故を追及した一連の番組について、自民党や財界から不満の声が上がっていたことがあります。もともと、「慰安婦」問題を取り上げたETV番組「問われる戦時性暴力」(2001年)に圧力をかけ、番組改変事件に発展させた張本人が、安倍首相(当時官房副長官)でした。

 放送法が戒めている「政府の仕事の代行」を公言する籾井氏のNHK会長としての資格が根本から問われることは当然です。同時に、NHKを「国営放送」と呼んだ百田尚樹氏らを経営委員会に送り込んだ安倍内閣の責任も鋭く追及される必要があります。

市民・視聴者団体「不適格な人物」

「解任」申し入れ

 NHKの籾井勝人会長の「暴言」に対して、市民・視聴者団体から籾井氏の解任を求める声が上がっています。

 「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」(醍醐聰・湯山哲守共同代表)は27日、NHK経営委員会に対して籾井氏の解任を、籾井氏本人には「自主的辞任」を求める申し入れ書をNHKに提出しました。それによると、「籾井氏がNHK会長の職に不適格な人物であること、視聴者・国民の信頼を著しく損ねたことは明らか」と述べています。

 市民団体「NHK問題を考える会(兵庫)」(貫名初子代表)は同日、経営委員会と籾井氏本人に宛てた「放送法と歴史的事実に反する暴言に抗議し会長辞任を求めます」とした申し入れ書を、NHK神戸放送局に提出しました。

 「NHK問題大阪連絡会」の河野安士代表は26日、籾井氏に対し「記者会見での発言に抗議し、即時NHK会長の辞任を求める」とした文書をファクスで送付しました。


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