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2014年1月11日(土)

米バイオ(モンサント社)工場の建設中止命令

アルゼンチン裁判所

環境保護の運動実る

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 アルゼンチン北中部コルドバ州の控訴裁は8日、環境悪化を懸念する周辺住民が反対していた米国系大手バイオ企業モンサント社の工場建設を一時中止するよう命じる判決を言い渡しました。世界最大の種子企業で強い影響力を持つ同社のプロジェクトに中止の司法判断が下されるのは極めて異例。同社は最高裁に上告する方針ですが、住民運動側も建設の完全中止までたたかいを続けると決意を新たにしています。


 問題となっているのは州都コルドバ近郊のマルビナスにモンサント社が2012年から建設していた工場。種子用トウモロコシの乾燥施設と説明されてきましたが、同社は殺虫剤や除草剤も生産する企業であるため、周辺住民らは同年に建設中止を求めて提訴。昨年10月の一審判決では、環境基準に適合しているとして工場建設を認める判断が下り、住民側が控訴していました。

 一審判決後には、モンサント社の殺虫剤が使用された付近の住宅密集地区の住民に健康悪化や高い比率でのがん発生が起きているとの研究報告書が発表されました。マルビナスの住民たちの運動はこれを受けてさらに活発化。工場建設地に通じる道路を封鎖して、工事を実力でストップさせてきました。

 今回の控訴審判決は、工場建設を認めた州当局の決定について、環境保護に責任を負うことを定めた憲法41条に反すると判断し、環境影響調査の結果が出され、住民の意見を聞く公聴会が行われるまで建設を「禁じる」と述べています。

 住民側は、認可を行った州政府の委員会のメンバー4人はいずれも環境や衛生問題で経験のない人だったことを指摘し、州政府の認可手続きの違憲性を問題にしてきました。判決は、この主張を採用したものであり、住民側の弁護士フェデリコ・マッシオチ氏は判決を「歴史的で画期的なもの」と評価しました。

 現地メディアによると、判決が明らかになると、コルドバ市内の裁判所前に集まっていた数百人の市民から歓声と拍手が起こりました。

 住民代表の一人ソフィア・ガティカさんは、今後、環境影響調査と公聴会があることから、「これは1歩に過ぎない」と語り、道路封鎖行動も継続すると宣言。「モンサントを追い出すために必要なのは政府の政治的決定だ」と指摘し、中央政府にも働きかけを強める意向を明らかにしました。(菅原啓)


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