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2014年1月4日(土)

新しい世界を求めて

欧州 金融取引税で市民応援

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 株式や債権、外国為替、金融派生商品(デリバティブ)など金融市場での取引全体に課税する金融取引税。1997年に東南アジアを襲った金融危機の頃から国際的に注目されるようになったこの税を導入する動きが、欧州で進んでいます。

歴史的な時期

 「いまの時代は歴史的にも注目すべき時期にあります」―フランスの「市民の支援のために金融取引への課税を求めるアソシエーション」(仏ATTAC)共同代表の一人、パリ第13大学のドミニク・プリオン金融経済学教授は指摘します。

 「投機的な金融取引は脱税と結びついて市民、自治体、国の負担となり、経済的衰退を招いています。私たちの目的は、投機が優勢ないまの金融の論理を変え、もっと実体経済と雇用増大に役立つようにすることです」

 仏ATTACの結成はアジア金融危機後の98年。同危機を通じて、80年代から90年代にかけて自由化された世界の金融市場を駆けめぐり、実体経済や国民生活に深刻な影響を及ぼすまで膨れあがった投機的な資本に、規制をかける必要性が強く意識されるようになりました。

 さらに2008年のリーマン・ショックに始まる金融危機が、金融取引税の議論を国際政治のトップレベルにまで引き上げます。09年11月、主要20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、ブラウン英首相(当時)が導入の検討を提唱。11年9月には欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会がEUでの導入を提起しました。

11カ国導入へ

 ただ世界的な金融センターのシティーを抱える英国や銀行・金融界からの抵抗も強く、EUでは結局、13年1月に独仏ら11カ国で導入に向けた本格的な作業開始を確認。2月には指令(EU法)案も公表されました。

 何に対し、取引のどの時点で課税し、誰が徴収し管理するのかなど、法的・技術的問題をめぐる論議が今も続いています。

 当初予定の14年1月導入は先送りされましたが、プリオン氏は15年には可能だろうとの見方を示します。

 「銀行・金融界からの激しい抵抗があり、オランド仏政権が銀行にすり寄って態度を後退させていることも問題です。でも各国に広がった『占拠(オキュパイ)』運動にも見られるように、投機規制への支持も根強い今こそ、金融取引税を導入することが必要です」

 仏ATTACは今月中にも世論喚起と啓発のためのセミナー開催を計画しています。

 (パリ=浅田信幸)


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